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にじゅう ページ20

私の腕をがっしりと掴んで離さない彼
手に変な力が入る


貴「あ、あの…坂田さ〜ん…ふざけるのも大概に…」

銀「ふざけてなんかいねェよ」


真っ直ぐな目でそう言うもんだから思わず目を逸らす


貴「あ、あの…」

銀「…わりぃ、忘れてくれやァ」

貴「え…」

銀「触って悪かったな」


離された腕にはまだ彼の温かさが残っていて
小さくなっていく彼の背中を見て苦しくなった
初めて。自分から男の人に触れたいなんて思ったのは


貴「…ま、待って!」

銀「……」


彼の腰に手を回して引き止める
こんなの別の意味で頭真っ白になっちゃう


貴「…あるよ」

銀「…あ?」

貴「さっきの質問。…ないって言ったら嘘になる」

銀「……」

貴「坂田だけの…女になる気、ある」


腰にまわした手が震える
それはきっと彼にも伝わってる
沈黙の後彼は私の手に自分のを重ねた


銀「ったく…触れねェんじゃなかったのか」

貴「…坂田、だから…」

銀「そういうこと言ってっと、どうなっても知らねェぞ」


彼はゆっくり振り返って私の顔を覗き込む
今度は彼が私の腰に手を回すともう一方の手で私の顎をくいっと上げる


銀「…煽ったのはてめェだからな」

貴「…っ」

銀「…なぁ、ちゅーしていい?」

貴「な…っ!?」

銀「…わりぃ、する」

貴「ちょ、ま…っ!んっ…!」


近づいてきた彼の顔のピントが合わなくなったかと思うと唇に柔らかい彼のそれが当てられた
腰にあったはずの彼の手は私が逃げないよう後頭部をがっちり掴んでいた
目を閉じて私の唇を求める彼を見ているのが恥ずかしくて私も目を閉じた

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作者名:さくさく | 作成日時:2021年5月12日 16時

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