じゅういち ページ11
最初は何を言っているのか分からなかった
聞こえなかったとかじゃなくて頭が真っ白になって
貴｢なん、て…？｣
銀｢…だから、横にいる小太郎くんと仲良く飲んだらどうですかって言ってんの｣
桂｢銀時！！｣
貴｢なに、それ…｣
コップを持つ手に力が入る
そりゃ小太郎くんと飲むのは楽しい面白いし
だけど今私は彼と飲んでいるところであって
小太郎くんだってエリザベスと飲んでる
どうして急にそんなこと言うの
銀｢金なら俺が払ってやるから。これで礼になんだろ｣
貴｢……｣
桂｢銀時！お前何を言っているんだ！｣
貴｢……は｣
桂｢○○殿？｣
貴｢…私はっ！！坂田と！！｣
銀｢……｣
貴｢…もういい今日は帰る。これお金｣
桂｢あ！○○殿！！｣
銀｢……｣
｢私は坂田と飲みたかった｣
素直にその言葉も言えやしない
貴｢なんで…っ、｣
頬を流れる涙は止まってくれない
桂｢銀時｣
銀｢……｣
桂｢まったく…素直になれない者同士の恋というのは一筋縄ではいかないな｣
銀｢…クソっ、｣
すっかり暗くなった夜道を歩く
道を照らす街灯は今の私の心のように付いたり消えたりを繰り返している
夜道は苦手だ
あのころのことを思い出してしまうから
ここ数日は彼が家まで送ってくれていたから安心だったが今となれば動く影は一つだけ
男｢おじょーさんよォ、こんな夜中に1人で出歩くなんざ危ないねェ｣
貴｢…っ、｣
男｢男は女の涙に弱いってもんよ、放っておけねェや｣
貴｢…大丈夫です｣
男｢そんなこと言わずにさ。慰めてやるって言ってんだ｣
貴｢や、やめてっ！！｣
路地裏から顔を出したかと思えばそいつは私の腕を掴んで元いた路地裏に私を連れ込んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくさく | 作成日時：2021年5月12日 16時
