62 ページ16
.
｢こうちゃんから、AさんはQuizKnock知らない状態でここに来てるって聞いたんだけど。｣
ドキッ…と、肩が跳ねる。
『えっ、あ、えっと…』
完全に思考回路が停止して、口が上手く回らない。
｢嘘なの？それ｣
あまりにも核心をついた質問すぎて咄嗟に反応できなかった。
今更訂正することなんてできない小さな嘘。
大好きな皆さんに嘘をついている、という事実から目を背けていたことを思い知らされる。
｢また難しい顔。分かりやすいですね｣
再び眉間をつつかれる。
でも河村さんは優しい顔をしていて。
『…そうなんです。嘘…なんです。』
自分で発する言葉が重く体中にのしかかる。
｢また、どうしてそんな嘘を？
元々ファンだって言った方が楽だったでしょうに。｣
『…えっと…』
何から話せばいいのか。
自分のためについた嘘なのに、
結局自分の首を絞めることになるのだから、
嘘なんてつくものじゃない。
河村さんには隠し事などできない。
途切れ途切れになりながらも話す私の話を、
河村さんは美しい顔を崩さずに、
静かに頷きながら聞いてくれた。
｢…なるほど。
僕は、むしろ知らない状態の方が
QuizKnockに関われる、
と思って嘘をついたんだと思ってましたよ。｣
確かにそうと捉えられても文句は言えない。
結局、知らないことを利用してここに居座っているようなものなのだから。
『その場限りの嘘のつもりだったんです。
お礼をして、もうそこから関わることはない存在だと思っていたから。』
｢確かに、まさかここまでQuizKnockに関わることになるとは思わないよね｣
『本当に、すみません…』
頭を深々と下げると河村さんの手が私の頭に優しく乗せられた。
｢失礼。
今のあなたには、僕の手が必要だと感じて…ね。｣
ぽんぽん、と撫でられて、静かに頭をあげる。
どうして、ここの人達はみんな優しいんだろう。
『本当は、もう苦しくて。
こんな小さな嘘なんですけど、打ち明けたいんです。』
｢ほう。誠実ですね。｣
『いやいや、嘘ついてる時点で誠実じゃないんですけどね…』
このまま打ち明けなくても
特に支障がないだろうって
思うようにしてたけど。
それこそ、誠実じゃない。
大好きなQuizKnockだからこそ。
｢僕が思うに、そんな嘘、今更バラしても
みんな何も思わないよ｣
『つまり…もう皆さんにバレているんですか？』
｢うーん、
鋭いのは僕と伊沢くらいだから、気づいてるなら伊沢じゃない？｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 513人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷち。(プロフ) - わああ、ありがとうございます(T＿T)完全私の妄想をお届けしているので、本当に嬉しいお言葉です、これからも頑張ります！よろしくお願いします(*´`*) (2019年12月29日 18時) (
レス) id: 405e211a09 (このIDを非表示/違反報告)
ぽる。(プロフ) - ずっとギュンギュンしっぱなしです…素敵な作品をありがとうございます！これからも更新楽しみにしていますので無理せず頑張ってください！素敵な夢をありがとうございます（；_；） (2019年12月28日 1時) (レス) id: 3842b3f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷち。 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年12月5日 19時
