検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:31,458 hit

3-3 ページ8




その言葉を聞いて、また無意識に体が動いた。
Aさんの元へと全速力で駆け寄って、彼女を力強く抱きしめる。
すると彼女はこんなことを呟く。



「…暗い屋上で良かったですね、誰かに見られてたらスクープ物ですよ」
『そんなことどうだっていい…今ここで僕の目の前から消えて欲しくないから』



身体を離し、僕より少しだけ身長の低い彼女の目を見ると、そこにはなんの感情も無いような黒い瞳があった。



『中に入りましょう、ここにずっと居たら風邪ひいちゃいます』
「…そうですね。どうやらもう1人にはしてくれないみたいですし」
『はい、大学出るまでは絶対1人にしないです』



大学構内の建物は案外普通に屋上に来れることが分かった今、彼女を1人にすることは危険だと考えた。
彼女の手を引いて1階まで降り、校門の方へと2人で向かう。

話かけると普通に答えてくれるし、何か変なところがありそうな感じもない。強いて言うなら、表情がほとんど変わらないくらいだろう。



『え?理工学部4年で23歳なの??』
「そうですよ、確か山本さんも同じですよね」
『うん…。なんで全く知らなかったんだろう…』
「私は浪人して入ってるので。山本さんはどこかで留年してますよね」
『ああ、それで接点が無かったのかな』



まさかの同じ学部学年で同い年とは思ってもみなかった。なんでもない会話をしていると、本当に聞きたいは聞けないまま、校門前に着いてしまった。



「それじゃあ、大学出たのでここからは1人で失礼します」
『あっ、待っ』
「それでは」



一礼されて呆気なく別れることとなった。
色々なことが聞きたかったはずなのに聞けなくて。
何なら彼女の下の名前すら聞けなかった。

思うままに行動して、でも本質を見失っていたことに、どうしようもない感情を覚える。

彼女は。
Aさんは今日の事に対して何か感情を持ったのだろうか。

4.停滞→←3-2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 5.4/10 (127 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
86人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , QK , 山本祥彰
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きちでーす(プロフ) - 浅間さん» この作品を読みました。スミマセン・・・これからの更新も楽しみにしています! (2020年3月31日 10時) (レス) id: dee570b2ba (このIDを非表示/違反報告)
浅間(プロフ) - きちでーすさん» コメントありがとうございます。内容の都合で本作では名前は藍で固定になってます。苗字のみ変えていただく設定ですので、ご了承ください。 (2020年3月30日 19時) (レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)
きちでーす(プロフ) - 初コメ失礼します。名前変換をしても、設定では「藍」という名前になっているのですが・・・ (2020年3月30日 17時) (レス) id: dee570b2ba (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 浅間さん» いえいえ〜 (2020年1月16日 15時) (レス) id: 96cb70a1d2 (このIDを非表示/違反報告)
浅間(プロフ) - 鈴さん» 外していたはずなのですがいつの間に……ご指摘ありがとうございます! (2020年1月15日 20時) (レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:浅間 | 作成日時:2020年1月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。