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誰かさんのために -izw ページ42

*



メディアへの露出を仕事としている彼は、どんどん容姿が綺麗になっていく。
付き合い始めた時もカッコイイとは思っていたが、最近は格段に垢抜けて、ファンも沢山増えているのだろう。

そんな彼を見て、私ももっと頑張らなきゃなぁなんて一人で考え出して、洋服やメイク道具を少しいい物にしてみたり、美容院も良さそうなところに固定し始めてみた。

なんて事ないある日の朝、お互い仕事に行く前に顔を合わせた時、不意に彼から声をかけられて、



「あれ?Aなんかいつもより可愛い」

『えっ、なにそれ急にどうしたの』

「いやちょっと前から思ってはいたけどさ、やっぱりちょっとキラキラしてるよ最近」

『ほんと…?まぁ、少しだけ美容を気にかけてみててね…』

「えーーー、今まででも十分綺麗だったのにぃ」



そう言うと再び自分の準備にとりかかった彼は、何故かずっと頬を膨らましていた。



『なんて顔してるの拓司くん』

「…だって、それ以上綺麗になられたら、俺じゃない違うヤツのとこに行っちゃう気がして」

『……もう、そんなこと気にしてたの?』

「そんなことって」

『私は、どんどんかっこよくなっていく拓司くんの隣にいて相応しくなれるように、拓司くんのために綺麗でいたいって思ってるの。このまま何もしないでいたら、どんどん釣り合わなくなっていっちゃうって』

「…あぁもう、朝から照れさしてくれるな」



完全に目線を逸らされたけれど、後ろから見てもわかる耳の赤さが彼の照れ具合を表していた。
どうしようもなく愛おしくなってしまって、私は自分の準備の手を止めて、彼の後ろからガタイのいい身体に腕を回す。



「ちょっ、A、あんま可愛いことしないで、家出らんなくなる」

『ふふっ、可愛い彼女に気を取られて遅刻しちゃいましたーって、それはそれで面白いじゃない?』

「面白くはねぇ!ってかほんとまじでやめて理性保てなくなる」

『余裕無い拓司くんかわいいね、仕方ない、離れてあげよう』



私の方が年下ではあるが、幼い頃から男子校で育っている彼よりは異性の扱いが慣れている。
メディアでは見せない可愛い一面を引き出せるのは、彼女の特権であろう。

この場所を、誰かに譲りたくはない。
だから私はあなたのために、綺麗でいたいのだ。








fin.

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浅間(プロフ) - いろさん» 返信が半年近く遅れてしまいすみません…!!!!コメントありがとうございました!好きと言っていただけてとても嬉しいです…。マイペースな更新で申し訳ないですが、もしよければ今後ともよろしくお願いします! (2020年7月15日 0時) (レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 今更感すごいですがコメント失礼します!前々からすごく好きで見させていただいていたのですがとうとう好きが溢れました。好きです。失礼しました。 (2020年3月4日 21時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浅間 | 作成日時:2019年10月24日 17時

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