疲れた時の -fkr ページ34
*
『だだいまぁ〜〜、づがれだぁ』
｢ちょっと、そんなおっさんくさい声出さないでよ｣
いやまじで疲れたんだよ無理。
無理すぎて文字通り足を引きずりながら拳のいる部屋へと向かう。
｢わ、屍みたい｣
『ねぇそれ可愛い彼女に言う言葉？』
｢今は可愛くない｣
『ですよね分かってました』
私は荷物を床に置きつつ人をダメにするクッションに身を預けながら返答をする。
彼は作業していたであろうパソコンを閉じてイヤホンも外しこっちを見て話をしてくれていた。
…つまり、だらしない姿を大っぴらに見せていたわけで。
｢もう、仮にも女の子なんだから脚くらいは閉じなさい｣
『いや無理〜〜、立ちっぱの仕事だから腰が死ぬ程痛いの許して』
｢はぁ…俺久々に早く帰ってきたのにAはそんななの？｣
『そんなって……、………っ』
｢あ、ごめ…｣
疲れて帰ってきて心も廃れてる時に彼氏からそんなって言われて、気付いたら涙が出ていた。
疲れ過ぎると涙が出やすくなるって聞いたことあったけど、本当だったんだなぁ…
そんな事を思いながら涙を拭っていると、拳が近くに来て申し訳なさそうな顔をこちらに向けてきた。
『ほんと、何も彼女らしいこと出来てないよね、私』
｢ごめん、違うの、そういうことじゃなくて｣
『違くないでしょ。いいのそれは。そうじゃなくて、久々に拳と家でゆっくり出来るってのになんももてなせない自分が嫌なの。ほんと……ごめんなさい』
｢だから違うの。俺こそごめん、勘違いさせた｣
そう言うと、私の涙を優しく拭ってくれて、大きな手で頭を撫でてくれた。
｢俺ね、久々に早く帰れてAの顔見て話せるのが楽しみだったの。だから、俺の顔見て話してくれなかったのが悲しかっただけ。Aが彼女らしくないとか、そんなこと1ミリも思ってないから｣
『……ごめん。ありがとう、ほんとに』
｢ううん、Aが頑張ってるのは分かるから。あ、Aの好きなスープ作ってあるよ。それ飲んで一緒に暖まろう？｣
『…うん。』
温め直してくるから着替えててね、と言う彼の背中を見て、本当にこの人が彼氏でよかったなと、心の底から思った。
野菜がほとんど入ってない彼特製のスープは、私が疲れた時に1番効く料理。
あ、1番効くのは拳の存在そのものかも。
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
浅間(プロフ) - いろさん» 返信が半年近く遅れてしまいすみません…！！！！コメントありがとうございました！好きと言っていただけてとても嬉しいです…。マイペースな更新で申し訳ないですが、もしよければ今後ともよろしくお願いします！ (2020年7月15日 0時) (
レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 今更感すごいですがコメント失礼します！前々からすごく好きで見させていただいていたのですがとうとう好きが溢れました。好きです。失礼しました。 (2020年3月4日 21時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：浅間 | 作成日時：2019年10月24日 17時
