今回の天女は肝が据わりすぎている (ページ42)

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29.泣き虫さんページ42

善法寺視点

天女様はもうお風呂に入っただろうか。包帯を変えないと

天女様の部屋の前に立つと僅かだがしゃっくりや鼻をすする音が聞こえた。また、泣いているのか…

しばらく様子を見ていると、静かになったようだ。
寝たかな？
そう思い、そーっと襖を空けると、そこには誰も居なかった。一体どこへ行った？少なくとも、さっきの声は天女のものだった。

ｶﾞﾀ

音のした方向を見ると、押し入れから聞こえているらしかった。そんな、まさか。
押し入れの戸に耳を当てると、スースーという寝息が聞こえた。やっぱり、ここで寝ているんだ…押し入れの中で狭い思いをしながらじゃないと寝れないんだ。

『ん、んぅ……』

まずい、あんまり長居するとバレてしまうかもしれない。あれだけ警戒しているんだ。眠りも浅いのだろう。もし、寝所がバレてしまったら、彼女はどこで寝るのだろう。
寝る場所がなくなってしまう。

部屋を出て、静かに襖を閉めた。

僕らの前ではあんなに強気な態度だが、本当は臆病なんだきっと。

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『ふぁ……』

なんだか人がいるような気がしていつも以上に寝付けなかった。すごく眠い。けど、二度寝できるかと言われれば寝れる自信がない。

しょうがない、朝起きたらまずは陽の光を浴びることからだ。そう思い、襖を開けると昨日見た薄紫の空が広がっていた。またか……

どうしたものか。昨日みたいに絡まれるのはいやだ。でも、ずっと部屋で日が完全に昇るのを待つのも退屈だ。

うーん

トイレに行きたいし、外に出るついでだ、顔も洗ってこよう。

トイレを済ませ、井戸へ向かう。やっぱり、水は重いな。引き上げるのに一苦労だ。

ん、あれは。食堂で向かうおばちゃんを見つけた。朝ごはんの支度だろうか。こんな早くから準備してるのか。おばちゃんすごい。
早く起きてしまったついでにおばちゃんの手伝いでもしようかな。