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尾浜視点
平太と潮江文次郎先輩がなにやら話している。正しくは、平太が潮江先輩にビビっている。またかと思い、声をかけると、平太が天女に関わったという。すぐに本性を出しやがったな。と思ったが違うらしい。まさかのビビっただけらしい。
潮江先輩と食満先輩の元へ向かうと、目を疑った。朝、あんなに強気だったあの天女が壁にもたれ、小さくなっている。やりかえすのかと思った。相手は忍者の卵だから無理だとは思うが。
天女はいつの間か立ち上がり、部屋へ向かっていた。
『ありがとう』
そう振り返らずにつぶやく姿がなんだか痛々しかった。
善法寺視点
文次郎たちとは別れ、僕は保健室に向かう。
手当の道具を取りに行くためだ。
午後の授業は先生不在でまるまる自習になっている。今日は運がいい。道具箱も中身を落とさなかった。なんだかまるで早く手当をしろと言われているようだ。
天女の部屋の前で耳を澄ます。鼻をすする音としゃっくりが不規則に聞こえる。
泣いているんだ。
胸が痛む。
泣き疲れて寝てしまったようだ。いましかない。意気込んで足を踏み込むと滑った。
何も無いのに…やっぱり僕って不運…
パシッ
食満「危機一髪。危なかったな!」
「手当するんだろ。手伝うぜ。」
善法「留三郎!」
食満「同室じゃないか。それに反省してるんだ。ちゃんと話を聞いてやらなかったこと。」
「話してくれなさそうだけどな」ハハッ
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作者名:きゅー | 作成日時:2024年1月19日 12時