21.色んな視点 ページ29
善法寺視点
留三郎と小平太が天女へ天罰を与える。僕はじっと見ていた。別に動けないわけじゃない。僕は最後のトドメの役割だ。気を失った天女に毒薬を飲ませる役割。
僕はよくみんなに人を殺せないと思われている。怪我した人を敵味方問わず助けてしまうからしょうがない。でも、僕だって忍たま6年生だ。やる時はやる。今だって天女に毒薬を飲ませる覚悟は出来ている。僕の後輩をいじめた天女が憎い。
そう思ってたのに、天井から文次郎と勘右衛門が降りて天女を庇った。何してるんだ。
聞けば、天女は何もやっていないらしい。
天女はふらふらと歩いて部屋へ戻る。途中、文次郎と勘右衛門にお礼を言った。
その時の表情はどんなだったかわからない。けど想像出来てしまう。きっと、とても悲しい顔をしている。
天女が何もやっていないと知った今、激しい罪悪感が襲った。あんなに憎らしいと思っていたのに。
いま、僕にできることをしなくては。
潮江視点
喜三太から伏木蔵と平太が天女に襲われていると報告を受けた。というのを留三郎から聞いた。
おかしい。隠れて寝るほどこちらを警戒しているのだ。自分から関わることなんてあるのだろうか。
不審に思い、本人たちに確認することにした。
平太に事情を聞くも、ビビってなかなか話してくれない。通りかかった勘右衛門が手伝ってくれた。
やはり、天女は手を出してなく、むしろ優しくしてくれたと。口は悪かったけど。
こうしちゃおれん。天女の元へ向かう様子を見るに、急いで言ってやらなくては天女が危ない。
勘右衛門と留三郎の向かった方へ急ぐ。
天女はボロボロだった。腕からは血を流し、
足は服で見えないが布が擦り切れている。きっとその下にはあざがあるんだろう。
天女はよろよろ立ち上がり、立ち去る。俺と勘右衛門にお礼を言って。老け顔なんて言われても怒れなかった。
55人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きゅー | 作成日時:2024年1月19日 12時