短編集 (ページ40)

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「けど今なら、言える気ぃするからさ？」

『うん？』

「全部、言う」

『全部？』

「そう。さっき言うたのが理由の全部ってわけちゃうねん。ほんまはもう一個、理由あって」

『ん、分かった、聞く』

「俺さ…」

これからまた秘密を打ち明けてくれるとは思えないほど爽やかな顔で、しげは躊躇いもなく口を開いた。

「小瀧が、好き」

『っは、』

あまりの驚きに固まった俺と、そんな俺を見つめるだけで何も言わないしげ。

長い長い沈黙が続いて、それに耐えきれないかのようにしげが吹き出して、俺だけが置いてけぼり。

「無理やろ？好きな人と恋愛ドラマやれとか。俺には無理や。しょーみ相手役が別の誰かやったら、俺はゲイってこと隠して普通にやってたと思うねん。…でも小瀧やから、ほんまに好きな小瀧やから、無理やなって」

そう説明するしげの言葉も上手く処理出来なくて、頭がパンク寸前みたいに音をあげる。

『…やばい。頭、まわらん、』

「ふはw そやろ？w …ええねん。そうやって俺の事ばっか考えてて？」

『…悪魔』

「えぇ？何言うてん、俺はニコニコ天使ちゃんやで？」

そう言ってニカッとえくぼ付きの輝かしい笑顔を向けられたところで、全然可愛くなんかない。

…いや、嘘。

正直結構かわいい。

だから前言撤回。

こいつは悪魔じゃなくて、小悪魔だ。