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「俺は無理。断っといて」
『理由は？』
「は、？なんでもええやろ、そんなん」
『なにをそんな怒ってるん…？俺との仕事って来た時点で、それを断るなら俺にも理由聞く権利あると思うから聞いただけやねんけど』
演技をあれだけ好んでいるしげが断るなんて、普通はないと思った。
だからこそ理由が気になって、このままだと俺自体を拒否されたような気さえして嫌だったし、そこまで深い意味はなく問うてしまった。
それがいけなかったのか、しげは冷徹さの中に少しの怒りを滲ませた。
「…言わん」
『なんなん、言わんって…。変に善人ぶらんでええよ、BLが無理ならはっきりそう言いや』
「そうとは言うてへんやろ」
『じゃあなんやねん！？』
「うるっさいねん、ほっとけや！」
ヒートアップしている自覚はあった。
最初はただ純粋に理由が気になっただけで、けれどそれをどうにかひた隠しにしようとするしげにだんだんと苛立ちがつのって、結果今までした事もないような強い口論にまで発展した。
それでもやっぱりそこまで隠そうとする理由も分からなくて、制止に入ろうとしたメンバーの声も構わずしげに問い詰める。
『…なにがそんな不満やねん。BLが無理なんちゃうくて、俺に言えん理由なんてひとつしかないやんな』
「っ…」
『…俺が、嫌いなんやろ』
「っんなこと…！」
『ないって？w それは無理があるって。それでもちゃうって言うんなら、今ここで理由言うてみぃや』
「…、」
『言えんやろ？もうそれが答えやん』
自嘲も含まれていたと思う。
いや、ほぼ自嘲だった。
笑いを含ませながら言ったしげを責めるような言葉の数々は、しげにどう映ったか。
それはもう、ひどく憎たらしかっただろう。
今までも冷たかったしげの視線はより冷たさを増して、ついには感情を失った。
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作者名：ゆうま | 作成日時：2023年5月1日 18時
