短編集 (ページ15)

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愛しい癖ページ15

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しげには、なぜだか抱きつくくせがある。

どんなくせ？って思ったそこのアナタ、俺も同じこと思ってます。

「アハハハ！w」

「まちがえた、！」

「こたき、ありがとうな」

大爆笑した時、照れた時、感謝の時。

事ある毎に、しげは俺に抱きつく。

しかもなぜか俺に。

『しげさ、』

「ん？」

『なんか…くっつき虫やったりする？』

「は？」

それがなぜなのか気になってしまって、話を切り出した楽屋の中。

完全オフモードのしげの態度は、大人びた落ち着きのある、仕事モードを知っている人からすれば少し素っ気なく感じるようなそんな感じ。

普段あれだけ抱きついているニコニコ天使ちゃんはどこへやら。

「なに？どういうこと？」

『いや、なんか結構くっついてくることあるやん？抱きついてくるっていうか』

「あー…、ほんま？…ごめん、無意識やわ、」

「そんなくっついてるかなぁ、」なんて顔を赤く染めながら、「なんかごめんな、」と照れたように笑う。

『いや、全然迷惑とかはないんやけどさ。俺だけな感じがして気になって』

「へ？」

『ん？…やから、俺に抱きつくことだけ異常に多いなって』

「えっ、うそ…」

『え？なにその反応w』

今自覚したかのような、心当たりありませんって顔をするしげに、なんか理由あるもんなんちゃうん？なんて思うけれど、目の前のしげの反応を見るに本当に全くの無意識だったようだ。

『なんか落ち着くとか？俺WESTの中やと一番背ぇ高いし、まぁ筋トレもしてるし』と続けるも、しげは「いや…」と言い淀むだけで腑に落ちてはいないようだった。

「…落ち着くのはそうかもしれん。けど、背ぇ高いとか筋肉とかは…なんかちゃう、気がする…」

『ふーん。まぁ落ち着くってのは悪い気はせんな』

「ほんま？」

不安げに揺れた目でこちらを見上げるしげは、先程の態度と一変して5歳児のよう。

『やってそれってさ、言い換えれば俺だけ特別ってことちゃう？』なんて茶化して問えば、「その言い方はなんかちゃうやん…」ってしげは照れて俺の胸に顔をうずめた。

『それや、それ』

「え、？あ、また無意識…」

『ふはw ええって、このまんまで』

急いで離れようとしてしまうしげの頭に手を添えて、そっと力を込めてまた俺に引き寄せれば、しげはぐりぐりと額を俺の胸に押し付けた。