劣等少女の病名【2】 (ページ11)

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57.お仕事終わりの話ページ11

あのあと他にも二人違反者を見つけた。というより、向こうから絡んできたんだけど。女だから勝てるなんて思ってるようで、しかも全員が馬鹿の一つ覚えのように"雲雀さんの彼女"の噂を持ち出す。

｢もう否定しても無駄な気がしてきた……｣

学校に戻るまでの帰り道、つい独り言をぼやいてしまう。そのくらい呆れているのだ。寧ろ私がこんだけ否定してるのに何で噂は消えない？否定する方が怪しく見えたりするんだろうか。

｢そういえば、雲雀さんは噂のことどう思ってるんだろう｣

私を風紀委員に誘ってくれた時、噂のことは知っていたようだけど別に興味はないって感じだった。でも、流石に私と付き合ってるとか言われたら誰だって嫌だろうな。被害妄想が酷い根暗喪女……。自分で言うのも何だけど、最悪だ。

｢はぁ。どう見たら私に彼氏がいるように見えるの。……っあ、す、すみませ｣

｢ん、君、こんなところで何してるの｣

俯いてトロトロ歩いていたら人とぶつかってしまった。曲がり角から出てきた人だ。咄嗟に謝ろうとして、それは途中で遮られる。その声は、今一番会いたくない人のもので…。

｢ひ、雲雀さんでしたか。私は見回りの帰りです｣

｢そう、それで？｣

｢それで、とは｣

｢彼氏がどうしたって？｣

｢ひぃっ！！｣

目から殺気が伝わってきて思わず悲鳴が出た。多分、あの噂のことだと思ってるのかもしれない。だからこんなに怒っていらっしゃるんだ。私がこんだけ言われるんだから、雲雀さんが言われていないわけもないし。怒るのも無理はない。

｢す、すみません！あの噂は私が何とかしますので！雲雀さんの名誉は、私が守りますっ！！｣

｢君って人の話し聞かないのは相変わらずだよね｣

さっきまでの殺気はどこへやら、見下すような目つきに謝り倒して弁明する。とはいえ、言い訳なんて雲雀さんは嫌いだろうから、できるだけ具体的な解決策を述べるのがベストだ。

｢噂の件について迷惑してらっしゃるのは重々承知しております。あの噂が消えるよう、日々訂正して回っているので｣

｢なんか勘違いしてるみたいだけど、僕はあの程度の噂どうとも思ってない。君が答えるべきは、彼氏がいるのかいないのかじゃないの｣

｢え、は、はぁ？彼氏なんていませんけど。ていうか、私に彼氏がいるように見えます？｣

悲しい自虐ネタだ。まさか雲雀さんも私に彼氏がいると思っていたなんて笑えない。下手したら年齢＝彼氏いない歴になるかもしれないんだ、私は。泣きたい。