39.母親の話 ページ41
｢まぁ、人体実験と言っても僕達とはタイプが違います｣
タイプが違う？この人達も人体実験をされた過去があり、だから私を呼び付けた。でも、それを私に伝えることでこの人たちになんの得があるというのだろう。骸の目的は、まだ何も分からない。
｢あなたの母親、トウコ・ミカミについてあなたはどこまで知っているので？｣
｢……何も。私が、小さい頃に離婚して……だから、顔も朧気、で……｣
｢彼女の本名は、マヤ・リンベル。日本人とイタリア人のハーフです。つまり、あなたはクォーターですね｣
骸の言葉に唖然としていると｢その日本人らしからぬ髪色も、イタリア人の血が混じっているからでしょう｣と、そう言った。たしかに私の髪は黒よりの青で、骸と少し似ている。でも、クォーターって……。それに、なんで母さんは国籍まで偽って日本に。
｢マヤは、僕達が人体実験をされていたとあるマフィアに雇われていたフリーのヒットマンでした｣
｢母さんが、ヒットマン……？じゃあまさか、母さんがイタリアから日本に来た理由は｣
｢お察しの通り、高飛びです｣
母さんがマフィアに雇われていたヒットマンで、日本に逃げてきた。そんな嘘みたいな話しを信じれるわけがない。でも、たしかに母さんが何でもできたのは事実だ。だからこそ『こんなこともできないの』、とよく怒られていた。
｢彼女が逃げた理由は、そのマフィアからある物を奪ったからです｣
｢ある物……｣
｢身体能力を、大幅に向上させる薬です｣
母さんがそれをマフィアから盗んで、追われた挙句に日本へ来た。そして、戸籍を変えて父さんと結婚した。私の人体実験の話しが、本当に真実なら、その薬が私に注射されているってこと？
｢ちなみに、薬が盗まれたことを知っているのは当時の関係者だけですから真偽を確かめる術はありません。ですが、あなたが強いことはあのランキングが示している｣
｢三峰A、キミは経験したことがあるのでは？力まかせに暴力を振るった時の、開放感を｣
そう言われて、思い当たることが一つだけあった。複数の人間に囲まれ、馬鹿にされ、手が出てしまったあの日のこと。｢あれは、怒ってしまっただけで｣私がそう言うと、彼は立ち上がり私の前に立った。
｢あの薬は注射された人間が力の制御をできず、暴走して死んだことから開発がストップされました。しかしあなたは生きているし、制御している。
でも"怒り"がトリガーとなり、我を忘れてしまうという所でしょうか｣
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
