28.少女の話 ページ30
【視点なし】
｢おい、どういうことだ！副委員長がやられたって！｣
｢俺が知るか。だが、雲雀さんが敵を倒しに言ったと｣
｢ならなんで被害者が増えてるんだよ！？｣
並盛中の校門前には、風紀委員たちが集まっていた。雲雀が動いたことで、誰もがもう襲撃はないと思っていたところに、新たな被害者。しかもそれが、風紀委員副委員長の草壁となれば、混乱するのも無理はなかった。
元々不良を締め上げた集団だ。統率者がいなくなれば、崩壊は目に見えている。現に、何名かはピリピリして今にも殴り出しそうな剣幕だった。
バンッ！！！
何かが破裂するような音が風紀委員たちの口を黙らす。全員がその音がした方向、下駄箱の方を見ていた。多くの視線を集めるその人間は、同じく風紀委員の腕章をつけ、堂々と立っている。
普段の様子とは似ても似つかぬその雰囲気に、誰もが息を飲んだ。マスクを外し、紺色の長い髪を一つに結っているその人は、三峰A。雲雀自らの誘いで風紀委員に入った女子生徒だ。
オドオドしていて、声も小さい。日頃から目立つことを嫌って、常に人の後ろにいるようなその彼女が、"拳銃"を空に向けて立っている。
｢な、三峰……どうしたんだ｣
｢いや、ていうかあの拳銃本物か｣
｢三峰はたしか、副委員長と病院に行ったはずじゃ｣
｢聞いてくだっ……いえ。今だけは、
私の話を、聞け｣
三峰のあまりの変貌ぶりに開いた口が塞がらない風紀委員たち。それに何より、その雰囲気は、どこか雲雀と似ていたのだ。どこが、と言われると難しい。まだ自信なさ気な雰囲気は消えていないし、手なんて少し震えている。
でも、そう。その目は、雲雀に似ていた。
｢私は、草壁副委員長からお前達を任された。っ、よって、これからは、私が！お、二人が戻られるまで、風紀委員の全権を担う。……ぁ、えー、異論のある人間もいるだろうが、従ってもらう。
従わない者は、この場で撃つ｣
たどたどしい。本当に、心配になる。ただ、雲雀や草壁のような完璧でないからこそ、この必死な新米を支えてやりたいと思わせる。それに草壁は知っていた。三峰が、風紀委員として常に努力していたことを。
そして、それを全員が見ていたことを。
｢い、いえ！副委員長から任されたと言うその言葉、信じています！｣
｢ここにいる皆、三峰さんを信頼していますから！｣
｢え。あ、ありがとう、ございます。あっ｣
敬語が出た三峰は、しまった、というような顔をして笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
