32.黒曜の話 ページ34
｢ここ、ですか｣
｢すでに不気味だ……｣
広大な敷地にある建物がどこも廃墟となっていて、たしかに不気味。でも、沢田さんは昔、ご両親とここに来たことがあるらしい。私も一度くらい、家族でこういう所に来てみたかった。リボーンさんのお前が案内しろ発言に思わず苦笑い。
沢田さんって、いつもこんな無茶ぶり言われてるのかな。まぁ、無茶ぶりは雲雀さんも大概だけど。
｢鍵はさび切ってる。奴ら、こっから出入りしてませんね｣
どうします、と聞く獄寺さん。それなら、別の道を探すしかないんじゃないかと思ったが、横からビアンキさんが一歩前に出る。その手には、紫色の毒々しい何かが乗ったお皿。一体何を……。
｢決まってるじゃない。正面突破よ｣
｢えっ！？｣
｢ポイズンクッキング、溶解さくらもち｣
｢なっ、ちょ！ビアンキ！｣
さくらもちが触れた鉄が、溶けてる！？ポイズンって毒だよね、毒で鉄を溶かしたってこと？そんな荒業が！
｢ビアンキさん、か、かっこいいです！｣
｢ふふ、ありがとう｣
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
＿
｢たしか、このあたりにガラス張りの動植物園があったはずなんだけど｣
それらしいものは見当たらない。ビアンキさんに文句言われてしょげてる沢田さんを励ましながら、もう一度周りを見渡してみる。でもやっぱり、それらしいものはどこにも。
｢なんだこれ。動物の爪痕みたいな……｣
｢来るぞ｣
リボーンさんの声に私も銃をとる。すると、草むらから現れた人間が山本さんに飛びかかった。速いが、間違いない。今のは黒曜生だ。吹き飛ばされた山本さんの地面に、ヒビが入っている。
｢うわぁぁ！！｣
｢山本さん！｣｢いらっしゃーい！｣
助けようとしたが間に合わず、しかも中にさっきの黒曜生が飛び込んで行った。中は暗く、ここからだとあまり様子が分からない。
｢なに！？今の！｣
｢人影に見えましたが｣
｢あ、あれは恐らく、並中生を襲った犯人の一人だと思います。笹川先輩から伺った容姿と、一致していますから｣
｢今の見えたの！？いやつーか、山本は！｣
｢落ちたわ｣
落ちたわって、ビアンキさん。それみんな分かってますよ。リボーンさんの解説によると、どうやら私たちが今いるこの場所こそ動植物園らしい。土砂に埋まったその屋根に私達は立っている、と。
山本さんに呼びかけると、かなり下まで落ちていることが分かる。これじゃあ、あの黒曜生と山本さんが戦うのを見てることしかできない。
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
