王道その43 ページ44
「う、そ、…嘘よ…」
「嘘やないわ。さっき俺が告白して、了承もらった」
「だ、まされてるのよ、コネシマくん、その女に…！」
「あ゛？」
「ひっ」
「うっさいねんさっきから。俺が誰と付き合おうと俺の勝手やろ」
現実を受け止められないのか、呆然とした表情で口を開く彼女たち。だけどこれが全て本当のことなのだと気がつくと、顔を真っ赤にしたまま教室から走り去っていった。
そりゃあそうだ。みんなの前で辱めてやろうと画策していたのに、逆に自分たちが恥をかいたのだから。逃げ出したくもなるだろう。
ありがとう、とコネシマくんに言うと、彼は照れくさそうに小さく笑った。
*°
「おぉ、お前ら付き合ったんやって？おめでとさん。リア充爆ぜろ」
「いや怖」
放課後の生徒会室では、やんややんやと軽いお祭り騒ぎになっていた。
あるものはコネシマくんに絡み、あるものはコネシマくんに飛び蹴りをし、あるものはコネシマくんを弄り、あるものはコネシマくんを……ってコネシマくんヘイト集めすぎでは？
生徒会員たちにもみくちゃにされるコネシマくん。
その様子を見て、おろおろとする私。
そんな私にそっと近づいてきたのは、少し落ち込んだ様子のゾムだった。
「A」
沈んだ声で名前を呼ばれる。
どうしたのだろうかと眉を寄せると、彼は泣きそうな顔で弱々しい笑みを作った。
「おめでとう」
震える手で両手を包み込まれる。
いつも元気なゾムのこんな姿は見たことがなくて、思わず目を見開いた。
少し冷たい彼の大きな手に力が込められる。
私が小さな頃から羨んでいたエメナルドのような瞳には、ゆらゆらと揺れる水の膜が張っていて。
「―――好きやったで」
喧騒に飲まれるようにして彼は笑う。
きっと私には聞こえないように言ったのだろうけど、確かに私の耳に届いてしまっていて。
静かに泣く彼の涙を人差し指で掬いながら、私も小さく微笑んだ。
とても強くて無邪気で、誰よりも優しい再従姉弟の気遣いに感謝して、彼の手を握り返す。
まるで幼い頃に戻ったかのように手を取り合う私たちに気づいた人は、誰一人としていなかった。
『ありがとう、ゾム』
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あまね(プロフ) - ヤバい！完結おめでとうございます (8月26日 21時) (
レス) @page47 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！！ (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 私悪役、、、、、、、、、、、、、、 (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 由依って私と同じでびっくりしました！！名前はカタカナのユイに変えていたのできずきました。 (2022年6月23日 2時) (レス) @page18 id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 麓珀のロクさん» ありがとうございます！だんだん学校生活が楽しくなっていく女の子って王道じゃん！って思いながら書いてました！楽しんでいただけたなら嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年9月16日 20時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
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