王道その41 ページ42
彼は私から目を逸らさなかった。
雲ひとつない快晴のようなその瞳が、じっと私を見つめている。
意を決したように強い光を灯すそれは、今まで見たどの水色よりも美しかった。
「……初めは、変なやつやと思っとったんや」
ぽつりと呟かれる言葉は少しだけ震えている。
彼が何を言おうとしているのか、今の私には手に取るようにわかった。
なんで彼が怒っているのかなんて、本当はわかっている。
わかっているけれど、心の底で信じられなくて、気が付かないふりをしていたんだ。
自意識過剰だったと思うのが怖いから。
本当は違ったのだと知ってしまうのが怖いから。
今の関係が崩れてしまうのが怖いから。
私は最後まで自分勝手になってしまう。
―――緊張しているのだろうか。心做しか私の顔の横につく彼の腕も震えているように見える。
それでも私から逃げないのは、彼が覚悟を決めたからなのか。それは私には分からない。
だけど今は、私も彼の気持ちを受け止めなければならないような気が漠然としていた。
「俺を見て不機嫌そうな顔すんのも、うるさい声を上げへんのも、失敗したら馬鹿にしたように笑うのも、女ではお前が初めてやったから、変なやつやなって思っとったんや。女友達なんて今までほとんどおらへんかったし、高校になってからは一切会話もせぇへんかったから、接し方もよくわからんくて。だけど時々見せる笑顔とか、ちょっと鈍臭いところとか、もっと見たいなって思ってん。」
いつもより少し低い声が心地いい。
耳障りのいい声に、私の肩の力も少しずつ抜けていく。
彼の声の震えもいつしか止まり、そこにいるのは真っ直ぐな視線でお互いを見やる男女だけだった。
「俺はな、」
彼のちょっぴり優しい声に私の鼓動がはやくなる。
「ずっと」
少しだけ彼との距離が縮まって、彼の熱が伝わってくる。
「お前のことが―――」
その少しかさついて、だけど綺麗な唇が、その言葉を紡ぎ出す。
「好きやねん」
ぶわり。顔に熱が集まった。
―――知ってる。
きっとどこかで気づいてた。
ただ、見て見ぬふりをしていただけなの。
その考えに蓋をして、この関係に甘んじようとしていただけなの。
でもずっとずっと心の中ではコネシマくんが私の事好きなんじゃないかって思ってしまっていて。
だってコネシマくん、すごくわかりやすいんだもん。
あのね、あのね、本当はね。
―――私だって、あなたのこと。
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あまね(プロフ) - ヤバい！完結おめでとうございます (8月26日 21時) (
レス) @page47 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！！ (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 私悪役、、、、、、、、、、、、、、 (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 由依って私と同じでびっくりしました！！名前はカタカナのユイに変えていたのできずきました。 (2022年6月23日 2時) (レス) @page18 id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 麓珀のロクさん» ありがとうございます！だんだん学校生活が楽しくなっていく女の子って王道じゃん！って思いながら書いてました！楽しんでいただけたなら嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年9月16日 20時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
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