王道その4 ページ4
1限目の授業を終え、私は大きく伸びをした。
隣の席の彼は最後までどこか仏頂面だったけれど、特に何かしてくるというわけでもなく。
初めての授業は、案外平和に終わったのではないだろうか。
『えっと、次は…』
「次は化学だよ、Aさん！」
『あ、ありがとう』
クラスメイト達も、困っていたらすぐに助けてくれるし、本当に助かる。
教科書は持っていないから、ノートと筆記用具、下敷きを準備して、さぁやろう！と私は意気込んだ。
『…あれ？』
だけど気がつけば教室にクラスメイトたちの姿はなく、いるのは私一人だけ。
もしかして移動教室だったのだろうか、と私は血の気が引いた。
『か、化学室とかに行けばいいのかな…？』
荷物を持って教室をとび出てみるものの、如何せん転校してきたばっかりで右も左も分からない。
うろうろと適当に校内をさまよっていると、見事に私は道に迷ってしまった。
『…あ、あれぇ？』
どうしよう、と半泣きになりながら歩き回る。
誰かに聞いた方が早いかな、と人の姿を探していると、突然後ろからふわりと抱きしめられた。
『…っ！』
ut「あれ？見かけない顔やねぇ。どしたん？こんなとこ来て。」
顔を上げると、そこには眼鏡をかけたひょろっとした感じの男子生徒が立っていて、にこやかな笑みを浮かべている。
腕の拘束から逃れようと軽く身を捩ってみたが、とかれる様子はなかったので諦めた。
『…あの、よければ化学室への行き方を教えてくれませんか。私今日転校してきたばっかりで、道に迷っちゃって』
ut「ええよぉ。あ、名前なんて言うん？僕鬱ですぅ」
『AAです』
ソワソワと軽く動く彼の指がなんだかくすぐったくて、反射的に手を引き剥がす。
だけど懲りずに私の腰に腕を回してきた鬱さんは、怪しげな笑みを浮かべて私のくびれをつつ、となぞった。
『―――っ、』
ut「でもさぁ。もう授業始まりそうやし、このままやと間に合わへんで？……授業なんかサボって、俺とええ事せえへん？」
覗き込むように私を見つめる彼は、楽しげに笑いながら私に唇を近づけてくる。
突然のことにあっけに取られていた私だったが、すぐ近くに彼の顔がやってきたときハッとして、彼を押しのけた。
『ちょ、やめてください』
不快感を隠すことなく睨みつける。
なぜ私は先程出会ったばかりの人間にファーストキスをあげなきゃならんのか。
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あまね(プロフ) - ヤバい！完結おめでとうございます (8月26日 21時) (
レス) @page47 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！！ (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 私悪役、、、、、、、、、、、、、、 (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 由依って私と同じでびっくりしました！！名前はカタカナのユイに変えていたのできずきました。 (2022年6月23日 2時) (レス) @page18 id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 麓珀のロクさん» ありがとうございます！だんだん学校生活が楽しくなっていく女の子って王道じゃん！って思いながら書いてました！楽しんでいただけたなら嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年9月16日 20時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
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