王道その29 ページ30
準備室に辿り着いてノックをすれば、化学教師のクラレ先生が扉を開けてくれた。
ノートの束を手渡して準備室をあとにする私たち。
窓の外から見えるグラウンドをぼんやり見つめながら廊下を歩いていれば、トントンさんがおもむろに口を開いた。
「…なんか、ありがとうございます。少し気が楽になりましたわ」
『いえいえそんな。お役に立てたなら幸いです』
大袈裟すぎる感謝の言葉に私が軽く手を振り否定しても、彼は困ったように眉を下げるだけ。相当思い悩んでいたのだろう。真面目な人は大変だなぁと心の中の私が言った。
しばらく二人で歩いていれば、日も傾きかけてきて、そろそろ帰らなきゃなぁなんて考え始める。
ここら辺で別れるか、とトントン先輩声をかけようとした時、彼もちょうどこちらを向いたのでバッチリと目が合った。
突然のことに一瞬だけ動作が止まる。
どくり、と心臓が大きくなった気がした。
『…あの、えっと…』
「ここら辺で別れときましょうか。あんまりAさんも僕と一緒にいるのを見られたら良くないかもでしょうし」
『そうですね、ではこれで』
彼は本当に気が利く先輩だ。
私が言わんとすることを即座に汲み取り、笑いながらそう言ってくれた。
彼の言葉に内心ほっとしつつ会釈した後その場を去ろうとする。しかし直ぐに「あ。」と彼に腕を掴まれた。
驚いて振り返ると少し緊張したようにこちらを見やるトントン先輩が視界に入る。
どうしましたか、なんて首を傾げると彼は頬をほんのり染めながら私に聞いてきた。
「…えっと、その、突然なんですけど…、…文化祭、よければ一緒に回りません？…ほら、あの、……この前はあんまりお話できませんでしたし、今日話を聞いてくれはったお礼もしたいですし、…えっと…。」
目を瞬かせると、言い訳するように視線を下に向ける先輩。
なんだかその様子が可愛くて笑うと、恥ずかしそうに頭をかいていた。
『いいですよ。一緒に回りましょ、先輩』
トントン先輩ならもしかしたら楽しく回れるかもしれない。
そう思って承諾すると、先輩はまた嬉しそうにはにかんだ。
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あまね(プロフ) - ヤバい！完結おめでとうございます (8月26日 21時) (
レス) @page47 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！！ (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 私悪役、、、、、、、、、、、、、、 (2022年6月23日 2時) (レス) id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 由依って私と同じでびっくりしました！！名前はカタカナのユイに変えていたのできずきました。 (2022年6月23日 2時) (レス) @page18 id: 4f57f42090 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 麓珀のロクさん» ありがとうございます！だんだん学校生活が楽しくなっていく女の子って王道じゃん！って思いながら書いてました！楽しんでいただけたなら嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年9月16日 20時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
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