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腕の中でぐったりと意識を失った女を抱きとめ、ショッピは小さく息をつく。
知らない人間が部屋の中にいた恐怖からだろうか、彼女の目尻にはうっすら涙が浮かんでいる。そんなところも彼女らしくていいな、なんて考えながら彼はくすくすと笑った。
自分は彼女の知り合いではないし、もちろんサンタなんてやつでもない。今日がちょうどクリスマスだったこともあり思わずサンタと名乗ってしまったが、まぁ別に問題は無いだろう。
では自分は一体誰なのか。それは本当に単純で簡単なもの。……そう、自分はただ彼女に一目惚れした一般人A。少しだけ、ほんのちょっぴり普通の人より愛が重いだけの男。
遠目で眺めるだけでは我慢できなかったから、手っ取り早く手中に収めたいと思ってしまっただけ。…まぁまさかこんなに上手くいくとは思わなかったけれど。
こんな誘拐まがいのことを聖夜にするなんて、一部の人間からは酷く怒られてしまうかもしれない。まぁそれもそれで面白いかもしれないが。
「いやぁ、すみませんね。サンタなんて信じてないんで、俺」
足元に落ちていたサンタの置物を蹴飛ばして彼は立ち上がる。器用に片手で彼女を抱えあげながら窓の鍵を開けた彼は、迷うことなくその窓を開け放った。
冬の冷気が窓から室内に流れ込んでくる。
彼と彼女の吐息が白く染まり、そしてやっぱりすぐに空に溶けていった。
「深夜に突然失礼しました」
ショッピは音も立てずに窓から飛び下りる。
家主を失ったその室内は、冬の空気を取り込みながらも再び元の静けさととり戻していた。
きっと、二度と彼女がこの部屋に戻ってくることは無いのだろう。
終わり
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マーシャ(プロフ) - bhさん» ありがとうございます！あの話私もお気に入りだったので褒めていただけて嬉しいです！ (2020年8月17日 21時) (
レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最新話のci助教の話信じられないくらい好きです。胸が締め付けられました。ありがとうございました。 (2020年8月17日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - イリアさん» 返信遅くなってすみません！ありがとうございます！嬉しいです…！ (2020年8月6日 8時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
イリア - やべーめっちゃすごい(語彙力) (2020年8月3日 10時) (レス) id: f0aa5ac6be (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 闇ちょこさん» リクエスト了解です！ありがとうございます！そう言って貰えると本当に嬉しいです！更新頑張りますね！ありがとうございます！ (2020年5月21日 15時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
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