聖夜の来訪者【shp】 ページ24
「聖夜に突然失礼しますね」
こんこん、小さなノック音。
それと同時に聞こえた男の声は、私が聞き覚えのない男のものだった。
突然の予想だにしない訪問者に、私は意識の底に深く落ちていた思考を無理矢理引き起こす。
重い瞼がゆっくりあがり、月明かりに怪しく照らされた狭い室内をぼんやりと映しこんだ。
髪の毛がふわりと風にさらわれ、顕になった首筋に寒気が走る。私の視線の先でパタパタとはためくカーテンは、確かに数刻前に閉めていたはずのものだった。
『......誰かいるの？』
寝起きのせいか普段より掠れた声で問いかける。カーテンの向こう側には誰もいないとわかっているはずなのに、私はそう問わずにはいられなかった。
ガラスの窓は開け放たれ、12月特有の冷気が容赦なく私の体を冷やしていく。はぁ、と吐き出した吐息は白く染まり、一瞬でふわりと空に解けていった。
「―――どーも、夜分遅くにすんません。しがないサンタっす。プレゼントの回収に来ました」
......と、どこからともなく聞こえる人の声。やはり空耳などではなかったのか。こんな深夜に一体誰だ？サンタってどういうこと？
ばっと体を起こして辺りを見渡してみても、誰かがいるような様子はない。得体の知れない恐怖に身体を蝕まれながら、私は恐る恐る開け放たれた窓の方へと近づいていった。
そっと窓から体を乗り出して外を眺めてみる。しかしやっぱりそこには誰もおらず、寂しく枯葉が風に飛ばされているだけだった。
そっと息を止めて窓を閉める。そしてそのままがちゃりと鍵も閉めて勢いよくカーテンで視界を遮った。
……また室内に静寂が訪れる。
気が付かぬうちに消えていたランプに光を灯し、私は小さくひとつ息をついた。
.........忘れよう。気のせいだ。だって誰もいないじゃない。疲れてるのよ、きっと。
強く強く目を瞑る。うるさく鳴り止まない心音も、強く握りこまれた両手にも気が付かないふりをして。
眠って、忘れて、あれは気のせいだったんだって。
「無視っすか？……まぁ別にいいんやけど」
―――そう、思ってしまいたいのに。
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マーシャ(プロフ) - bhさん» ありがとうございます！あの話私もお気に入りだったので褒めていただけて嬉しいです！ (2020年8月17日 21時) (
レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最新話のci助教の話信じられないくらい好きです。胸が締め付けられました。ありがとうございました。 (2020年8月17日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - イリアさん» 返信遅くなってすみません！ありがとうございます！嬉しいです…！ (2020年8月6日 8時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
イリア - やべーめっちゃすごい(語彙力) (2020年8月3日 10時) (レス) id: f0aa5ac6be (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 闇ちょこさん» リクエスト了解です！ありがとうございます！そう言って貰えると本当に嬉しいです！更新頑張りますね！ありがとうございます！ (2020年5月21日 15時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
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