痛くて、苦しい ページ15
*°
「ただいま〜」
「ん？お、やっと戻ったんかお前〜！お茶注ぐだけのくせにえらい遅かったやんけ！」
「うるせーな。コップ探しとったんや！」
程なくしてシャオロンが飲み物片手に戻ってきた。彼は機嫌良さげにお盆の上に乗せられたコップを私たちの目の前に置きながら鼻歌を歌う。
私たちが先程までどんな会話をしていたかなんて何も知らない彼は、呑気に笑顔をうかべたまま元々自分が座っていた場所に腰を下ろした。
コップの中に注がれたお茶を一気飲みした彼は、やけに静かな私を横目で見やり、不思議そうに首を傾げる。コネシマはいつも通り大声で話しているからか、1人だけテンションの低い私に酷く怪訝そうだった。
「……なんかあったん？」
隣で自慢げに好きな映画を話をするコネシマ。ちらりとコネシマに視線を向けたあと彼は小声で私に問いかけてくる。
その心遣いは本当に嬉しいけれど、流石にコネシマに間接的な失恋をしたなんて彼に言えるはずもなく、私は苦笑いしながらなんでもないよと答えておいた。
…上手く笑えていたのかは分からない。
だけどあまりにも早すぎる失恋に私の心が追いついていないのもまた事実で、自然な笑顔を浮かべられている自信なんて全くなかった。
「……なら、ええんやけど」
私の答えに腑に落ちない表情をしつつも、シャオロンは特に深掘りしてこない。案外空気の読めるところが彼のいいところだよなぁなんて思いながら私はへらりと笑うと、冷たい麦茶を口の中に流し込んだ。
―――冷たいなぁ。
目頭がツンと熱くなる。
ズキズキと痛む胸から目を逸らし、私は額の汗を拭った。
今私の頬を伝ったのが汗だったのかほかのものだったのか、私には分からない。分かりたくない。
だけど、視界の端でシャオロンが大きく目を見開いていたような気がしたのが、酷く印象に残っていた。
*°
更新遅くなってすみません。
ゆっくりではありますがちゃんと更新していきます…
*°
ののみやちゃんの企画に参加させていただきました！
【企画】泡沫は藍に染まりて君を誘い・前編【ut】
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マーシャ(プロフ) - ルウさん» わー！ありがとうございます！今ミスしたところの調整中ですので少し更新遅れるかもしれませんが…。いつもありがとうございます！ (2020年4月12日 10時) (
レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
ルウ - し、新作！！早めに気づけなくてごめんなさい！！更新楽しみにしてます！！ (2020年4月11日 23時) (レス) id: 006c5aabd3 (このIDを非表示/違反報告)
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