初恋の味はレモン味【sha】 ページ48
「A、口開けて」
眠気もピークに達してきた5限目の終わり。
ウトウトと船を漕ぎながらノートを取る私の肩を、隣の彼は容赦なく揺すった。
振動でぐちゃぐちゃになったミミズ文字。
元々読みにくかったその文字も、もはやただの線になってしまう。
覚醒してきた意識で捉えたその文字に、なんだか妙に虚しくなった。
『…何、シャオちゃん』
「ええから、口開けて」
全ての元凶である隣の彼を軽くにらみつける。
しかしもちろんそんな顔をし手みたって、隣の彼はどこか吹く風だ。
1番窓際の後ろの席に座る私たちは、肩を寄せ合い小さな声でヒソヒソと会話をする。
幸い今日の授業の担当は声の大きい先生だったから、私たちの声も完全にかき消されていた。
『…なんでよ』
「ええから、ほら口開けて」
頑なに理由を告げることなくせがまれて、私は渋々口を開ける。
するとコロンと口内になにか投げ込まれて、私は思わず口を閉じた。
『……？…飴？』
「そ。レモン味。美味いやろ？」
『今授業中だって意識はある？』
「暇やからしゃーない」
少し小さめの丸い飴を舐めながら、私は小さく嘆息する。
どうせ彼の事だ。何を言っても聞かないだろうし、下手に突っかかる方が面倒なことになる。
放っておくのが吉だろう。
クスクスと笑う彼を一瞥した後に、私は再び黒板に向き直る。
落ちてきたひと房の髪を耳にかけると、読めない文字を消しゴムで消して、綺麗にもう一度書き直した。
しゅわしゅわ溶け出すレモンの飴は、甘酸っぱい味を私の舌に運んでくる。
机に頬杖をつきながら舌の上で転がせば、しゅわりと溶けて消え去った。
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マーシャ(プロフ) - めるさん» 基本的にここにあげてるお話はツイッターで上げていたお話なので更新速度かとてつもない速さになってます笑。内容はフォロワーさんなどにリクエストとかいただいて書いてます！ (2019年9月20日 20時) (
レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - 更新スピードの速さにびっくりしています…！お話のネタってどうやって考えているのですか？ (2019年9月20日 17時) (レス) id: 00dabe47f6 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 名無しさん» ひょえ、ありがとうございます…！微妙なところで終わったので、気が向いたら続き書こうかな、と思ってます。 (2019年9月18日 23時) (レス) id: 942f8fba2e (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 猫の日の話がとても好きです (2019年9月18日 21時) (レス) id: 8e5d693f3e (このIDを非表示/違反報告)
ねおる(プロフ) - マーシャさん» そうなんですね・・・ (2019年9月17日 20時) (レス) id: 0c3e920e49 (このIDを非表示/違反報告)
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