46話 ページ2
また大樹を真ん中にして歩く
「もうすぐ着くよ」
少し先に大学が見えてきた
『でかっ!』
確かに・・・俺も初めて見た時はそう思った
「疲れてない?」
『大丈夫!』
「大樹は?」
「だいじょうぶ・・・あのね・・・おにいちゃん、おみみかして」
ん?どした?と耳を大樹の口元に寄せる
「おしっこしたい」
「え!まじ!」
大樹の声はAまで聞こえていたようで焦った顔をしている
「俺走ってトイレまで連れてくから、Aはそのまま歩いてきて!玄関で待ってる!」
バックをAに渡して大樹をおんぶして走り出す
「大樹!もう少し我慢出来る?」
大学のトイレまであと5、600mくらい
大樹をおんぶしたまま全力で走ってあと三分くらいか
「できる」
その言葉を信じてひたすら走る
「あれ?宇野?え、子ども?」
同期とすれ違う
何やら話しかけられたが今はそれどころではないと心の中で謝りながら通り過ぎる
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「間に合った・・・」
大樹が入った個室のドアに寄り掛かり息を整える
トイレを終えた大樹が出てくる
「おにいちゃん、ありがとう」
「どういたしまして・・・ほら、手洗うよ」
洗面台の前で大樹を後ろから抱き上げて手を洗わせる
ペーパータオルで水分を拭き取り、玄関へ戻る
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作者名:カイリ | 作成日時:2019年9月14日 19時