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「えっと、…クロ、さん」
躊躇いがちに、伺うように声を掛けると
「……。呼び捨てで構わない」
そう、短く修正された。
それと同時に、ふい、とクロに顔を逸らされるが、彼女の耳が、猫のようにふわふわした毛に覆われた尖った耳であるのが見えた。それを見て、やっぱり今俺が居るこの世界は、人外、というか人間そのままの容姿のやつがあまり居ないのだと、認識する。
「じゃあ、クロ……何だよ」
名前を呼び捨てにしたところで、ハナキが口をへの字にした。不機嫌そうなその様子を一切隠す事なく、俺を見る。
「べっっっっつにー」
拗ねたようにハナキは頬を膨らませ、ぷい、と顔を逸らした。仕草が可愛らしいな、おい。おっと、それよりも聞きたい事があったんだ。
「言い難いなら言わなくて良いんだが……なんで追われてたんだ？」
出会った時、クロは蜥蜴男に追い詰められていた。普通に生活していれば追われる事はない筈なので、確実に何かはあっただろう、と、俺は考えていた。そういえば、あの蜥蜴男も追ってこないとは限らないし、そろそろ移動したほうが良さそうだ。
「……言いたくない」
表情を少し暗くし、クロは答える。あまり、よろしくない理由だったのかもしれない。
「……分かった。そろそろ移動しよう」
『移動』について考えた時、はたと何処が安全なのか知らないことに思い至る。
「なあ、ここの世界の治安ってどうなってるんだ？警察とかいないのか？」
「……。本当に『孵りたて』なんだな」
少し呆れたように溜息を吐き、クロは腕を組んだ。
「その『孵りたて』ってなんだ」
いい加減、何度も言われると気になってくる。
「転生したての者達をそう呼んでる……奴らもいる。そこまで浸透はしてない……と思う」
あまり自信なさげだな。そう内心で突っ込んでいると、
「その『ケーサツ』とやらが何かは知らないが、聞くからに治安維持の組織なんだろう？」
クロは銀の目を細め、俺に言葉を投げ掛ける。拍子に、青味がかった黒いストレートの髪がさらりと溢れた。それに一瞬目を奪われたものの、投げかけられた質問に、そうだと頷く。
「そんなものは、無い」
衝撃的な言葉が返ってきた。警察が、無い！？じゃあ、どうやってこの世界で安全な生活を送るんだ？
「本当はあるかもしれないが、殆どと言って良いほどに、機能していない」
と、クロは続ける。
「
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鬼灯(プロフ) - 先に言っておきます、主人公にムカつくのならば、私の考えた設定に見事ハマっております。この主人公、(あるいは数名の登場人物)には、少しイラつくような、不愉快になりそうな要素をいくつか混ぜ込んでおります。主人公の察しが鈍いのもそのせい。(もはや言い訳) (2020年11月28日 12時) (
レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 蟻さん» コメントありがとうございます！頑張って完成させたいと思います。 (2020年9月27日 0時) (レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
蟻 - 続きが気になります！ 時間がある時で大丈夫ですので無理のない更新頑張ってください (2020年9月26日 17時) (レス) id: 25e4f6e788 (このIDを非表示/違反報告)
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