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狭い袋小路は一般的な日本人が二人肩を並べて入れるほどの幅がある。路地は薄暗く、他の通りと同じようにゴミが散らかっていた。比較的綺麗な場所に彼女を降ろし、彼女をの上半身を膝を突いた自身の腿に凭れさせて回復させる。
×
暫く光を充てていると、彼女自身の身体が徐々に熱を取り戻し始めた。魔法というものは体力を使うものらしく、連続の使用が辛い。おそらく、まだ数分しか使っていなかったが、長距離走をしている最中のような胸の苦しさがあった。
「あと、もう……少し」
少し申し訳なく思いながら彼女の胸に耳を充てると、とくん、とくん、そう小さく脈打つ音が聞こえ始めた。もう大丈夫そうだと思い、自身の手から魔法の光を消す。すると、どっと身体が重く感じた。
「ナナセ、大丈夫？」
息を荒くし壁に凭れた俺を見てハナキは眉尻を八の字に下げ、心配そうに声を掛ける。
「あぁ、大丈夫だ」
少し身体が怠いが、それを堪えてハナキに応えた。すると、抱えていた彼女が身動ぎしだした。
「ん……」
薄ら目を開けるそれは、まるで雲に隠れていた月が出てきたかのような輝きで思わず目が奪われる。まだ意識ははっきりとしていないようで、彼女はぼんやりと宙を見ていた。
「……今のところ、追っ手は来てないから安心してくれ」
「……！」
何か言葉を発しようとして、思い付いた言葉を掛ける。すると、彼女の意識はしっかりと覚醒したらしく、目の光が強くなった。
「っ、」
どん、と突然、胸に強い衝撃が走る。彼女に強く弾かれたらしい。その勢いでもんどり打って、尻もちをついた。
「ちょっと！」
立ち上がった彼女を見上げ、ハナキが抗議の声をあげる。
「大丈夫だ。ただびっくりしただけだろ？」
ハナキを宥め、起き上がって彼女を見ると
「……」
彼女は少し、気まずそうに目を逸らした。ふと、今更ながら言葉が通じているのかが気になりだす。ハナキとは偶然的に言葉が通じていただけで、目の前に立つ猫のような彼女と使う言葉が違う可能性も無くはないからだ。
「……すまない。…………助かった」
長い間があった後、ようやく、彼女は言葉を発した。謝罪をもらったことやずっと黙っていた彼女が声を発したことよりも、使う言葉が同じだったようで俺は心底安心したのだった。
「俺はヒカル・ナナセだ。なぁ、アンタ。名前は？」
「……私は『クロ』。ただ、それだけだ」
苗字は無くした、と彼女は無表情で溢したが、それが何故か寂しそうに見えた。
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鬼灯(プロフ) - 先に言っておきます、主人公にムカつくのならば、私の考えた設定に見事ハマっております。この主人公、(あるいは数名の登場人物)には、少しイラつくような、不愉快になりそうな要素をいくつか混ぜ込んでおります。主人公の察しが鈍いのもそのせい。(もはや言い訳) (2020年11月28日 12時) (
レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 蟻さん» コメントありがとうございます！頑張って完成させたいと思います。 (2020年9月27日 0時) (レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
蟻 - 続きが気になります！ 時間がある時で大丈夫ですので無理のない更新頑張ってください (2020年9月26日 17時) (レス) id: 25e4f6e788 (このIDを非表示/違反報告)
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