恋模様【安元洋貴】 (ページ35)

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悠木side

悠木「あれ、舞ちゃん！」

アフレコ収録が終わり、帰ろうとした時舞ちゃんがソファーに座っていたので声を掛けた。

顔をあげたい舞ちゃんはひどく悲しそうで。

私を見た途端一気に泣きそうな顔になった。

悠木「舞ちゃん?!どうしたの？何があったの？」

舞ちゃんの肩も持ち落ち着かせるために出来るだけ優しく話かけた…つもりなんだけど。

舞ちゃんの表情は変わらない。

悠木「舞ちゃん、大丈夫。ゆっくりで大丈夫だから。」

そう言うと舞ちゃんはゆっくりと口を開いた。

舞「Aさんが………事故に巻き込まれて病院に……って…。」

その瞬間サーっと血の気が引いて、暑さの汗が冷や汗に変わった感覚だった。

悠木「え……そ、れ……大丈夫だよね？Aちゃん無事だよね？」

舞「結構重症で……意識もなく……て、今手術してるって………ヤバいっかもっ…て。」

ついに涙をこぼし舞ちゃんはそう言った。

悠木「そんな…。」

思わず手に持っていた荷物を落としてしまった。

ドサッと言う音が遠く感じる。

その時だった。

中村「しっかりしろ。」

悠木「中村さ…」

中村さんが私の荷物を拾い、

中村「話はだいたい分かった、俺は安元さんとかに伝えとくから先病院行っとけ。」

私に渡してそう言った。

舞「あの…」

中村「神家さんはすぐ死ぬような人じゃないだろ。絶対大丈夫だ。」

気付けば私も泣いていて。

その言葉に少し救われた気がした。

悠木「…………舞ちゃん、行こう。」

舞「……はい。」

悠木「……じゃあ。」

中村「おう。」

私は舞ちゃんの背中を押し、病院へ向かった。