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神家兄貴side
兄貴「……だってさ。」
妻「………そう…なの。」
電話でAの様子を伝えた。
あの後俺もニュースを見た。
妻も見たらしい。
妻「でも…本当許せない。自分はかすり傷程度の怪我って…。」
妻も怒り口調で言う。
兄貴「……明日オカンとオトン来るって言ってたけど…大丈夫かな。」
妻「心配ね…。」
その時、電話越しから娘の声が聞こえてきた。
兄貴「仕事…休んだの？」
妻「うん、今日だけ。明日は預ける。」
兄貴「なんか………ごめんな。」
妻「なんで謝るの。」
兄貴「え、ごめん……あ。」
妻「ふっ。」
妻は引っかかったなと言わんばかりに笑った。
兄貴「……なんか、元気出たわ。」
妻「それは良かった。じゃあ、また何か電話して。」
兄貴「うん。」
電話を切った後、看護師に名前を呼ばれて振り返る。
看「これ、Aさんのお荷物です。」
と、バックを渡された。
中のスマホはバギバキで、サイフも大きな傷がついていた。
恐らく事故の時についた傷だろう。
他にもぐしゃぐしゃになった台本や、仕事の事がぎっしり書かれてあるメモノート。
もう原型は無く、こちらもぐしゃぐしゃである。
兄貴「お前……本当よく生きてたな。」
ただただ素直に褒めたいと思った。
＊
兄貴「それじゃあ、ありがとうございました。」
あれから俺は夜までずっと病院に居た。
しかし、もう夜も遅かったのでそろそろホテルに帰ろうと思ったのだ。
その時。
水樹「神家！」
兄貴「えっ、えっ?!」
水樹「まだ居たか……良かった。」
兄貴「なんで？え??!」
水樹「仕事終わったからよ…あと……」
兄貴「あと…？」
水樹「Aちゃんの状態聞いて…心配で。」
………妻か。
兄貴「あぁ。なんか……思ったより重症で。」
水樹「あと、Aちゃんのマネージャーさんがアンタに渡したい物があるって。」
兄貴「Aのマネージャー……」
そうか、アイツもある意味芸能人だもんな。
＊
由加「マネージャーの由加愛子です。」
兄貴「神家の兄です。」
由加「これ……。」
そう言われて渡されたのは1枚のカーディガン。
オカンとがプレゼントしたものである。
由加「楽屋に忘れてて…。一応渡しとこうかと。」
兄貴「……そうですか、ありがとうございます。」
由加「…なんか……Aとしばらく会えないって、違和感です。」
水樹「私もです。Aちゃんは私にとって気付いたら傍にいてくれてる存在でしたから。」
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作者名：糸丸子 | 作成日時：2021年8月19日 9時
