22話 ページ22
*白布side
ニッと、目を細めて歯を見せて笑うA。
「夢に出てきちゃうくらい好きなの?」
「夢に出てくるのは相手が自分を想ってるから、って古典でやった気がするけど」
「想ってない!」
「誰もAだなんて……」
そう言いかけると、Aの顔が月明かりの下でみるみる赤くなっていく。
俺は笑って言った。
「ごめん、嘘、言った」
「起きてたの?」
「起きてた」
「寝たフリ上手いね」
他に言うことあるだろ、と思いつつも彼女は必死に取り繕ってる様子。
そんな彼女を見てると小賢しい自分が嫌になる。
俺は彼女に近づいて言った。
「夢に出てくるほど俺はAのこと好きだけど、Aは?」
「……別に」
「別にじゃわかんねーよ、末っ子」
「末っ子じゃない! 一人っ子!」
ほら、こんなに可愛い。
見た目だけじゃない、中身も。
全部全部、可愛くて愛おしい。
こんなに可愛い彼女を男だと言って笑うクラスメイトには心底同情する。
「今度」
Aが下を向いたまま呟く。
言いにくそうに、口を開いたり閉じたりを繰り返す。
「今度、ネズミーランド行くんだけど」
その、とまた途切れてしまう。
俺は彼女が言い出すのを待った。
何を言うのかは分かってる。
彼女のペースで、焦らせないようにゆっくり。
「良かったらネクタイ、貸して?」
「返す時、期待してるから」
俺はネクタイを外してAに投げ渡した。
217人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲曲 - とてもドキドキと悶えながら読みました!とても面白かったです! (10月8日 0時) (レス) @page24 id: a4e2c99ea5 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!どんどん距離が近くなっていく二人を見るのが楽しかったです!好きな子が自分をきっかけに可愛くなるって絶対嬉しいですよね! (2021年10月16日 11時) (レス) @page28 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます。伝えたいことをしっかり汲み取った感想、本当に嬉しいです。ご愛読ありがとうございました! (2020年1月13日 10時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
朔 - 完結おめでとうございます(≧∀≦)思わず笑顔になるような素敵な作品をありがとうございます! これからしらぶんと接していく内にどんどん可愛くなっていくんだろうな〜と空想してます(笑) 学校、お疲れ様です。体を大切に、無理はしないでくださいね(*^^*) (2020年1月13日 9時) (レス) id: 3b40186626 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - りんねむさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂ける作品を作れて幸せです。ご愛読ありがとうございました! (2020年1月13日 9時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ