Preghiera di duo～月に祈りを星に願いを～ (ページ4)

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＊標的3 ページ4

｢ご主人様ぁぁぁああ！！｣

朝から馬鹿でかい声を張り上げ、頭から爪先まで、全身が黒に覆われた黒縁眼鏡の男性が弥王に近付く。
唯一シャツと肌のみが白く、パッと見は某推理アニメに出てくる犯人の様な風貌だ。

弥王は馴れているのか耳を塞ぐことはなかった。
いや、むしろ、｢うるっせぇ！｣と言いながら、男性に回し蹴りを食らわせた。

長い足は綺麗な半孤を描いて、その新品同様に磨かれた黒い光沢を放つローファーの硬い踵が男性の丁度腹にクリーンヒットする。

容赦の無い弥王の蹴りに呻く男性の呻き声など気にも留めずに、弥王は鞄の準備に勤しんだ。

此奴に構っている時間は無い、と言っているかの様だ。
男性はめげることなく立ち上がると、弥王に声を掛けた。

｢ご主人様！
ご登校されるなら、この私が･･････｣

｢だが断る｣

｢ご主人様ぁぁぁぁああ！？｣

｢っるっせぇ！｣

｢ご登校されるなら、この私がお送り致します！｣という男性の申し出が解ったらしい弥王は、男性の言葉を冷静に遮った。
すると、遮られた本人は遮られるなんて、しかも断られるなんて夢にも思っていなかったのか、断られて絶望したとでも言いたげにムンクの様な顔で声を上げて、弥王に今度は膝を入れられた。

その膝は綺麗に1㎜もずれることなく、男性の鳩尾に入る。
着痩せして解らないが、鍛えられた身体には然程ダメージは少ないモノの、それでも弥王の蹴りは一般の男子のそれよりも強いので、お腹を押さえて蹲り、呻く程には痛い。

そんな不憫な扱いを受けたのは、メテーオラ。
黒髪に黒縁眼鏡が特徴、と言うか、眼鏡の方が本体の様な不憫な弥王の執事だ。

弥王曰く、ダメダメ執事とのこと。
メテーオラへの制裁が終わり、鞄の準備が出来ると、丁度餌を食べ終わって満足そうな顔のララァに弥王は手を差し出した。

｢行くぞ、ララァ｣

｢なーん｣

哀れなメテーオラを一瞥して、ララァは嬉しそうな声と共に弥王の手を伝って肩に乗った。
それを確認すると、弥王は食堂を出て、エントランスの右にある扉から、外に出た。