373話 ページ8
「……なんも面白い話じゃねぇぞ」
「うん、別に面白くなくてもいいよ」
ザックはレイから目をそらす。過去の記憶を呼び戻すかのようにふと目を閉じ、次にはゆっくりと目を開けると自虐のような笑みを浮かべた。
「……ガキん時によぉ、家にいた男に火をつけられたんだよ」
「……男……火……？」
「あんまり記憶ねぇけど……俺を産んだ女の……連れの男だったんじゃねぇか？ 男で覚えてんのは、そいつに噛みついて、肉を引きちぎってやったことくれぇだよ」
「…………」
「男は俺を殺す気だったんだろうが、あいにく俺はなかなか死ななかったみてぇでよ！ ビビったんだろうなぁ……？ けっきょく、俺を産んだ女が布で俺をグルグルに巻いて……クソみてぇな家に金払って放り投げたんだとよ」
話しながらザックの口角は上がっていく。自虐の笑み。嗤うザックを見ながら、Aは言葉を失っていた。ザックの過去を聞いたレイは自身の手を肌に添わせると、そっと撫でつける。ザックが幼少期に体験したという、皮膚が焼かれる痛みを想像しているように見えた。──あるいは、思い出しているかのように見えた。
しばしの静寂のあと、レイはただ一言。
「……そう」
それだけ。たった一言だけを口にするとザックから目を背けた。どこか無愛想に見えるレイの態度にザックは少し機嫌を悪くしたらしい。
「んなもんだ。どうだ、満足かよ」
「……うん」
「んだよ、面白かったのか？」
「うぅん、別に面白くないけど」
「……あぁ！？」
「でも、火傷のことを知れたから、私は満足したよ。なんでだろう……知りたかったの、ザックのこと。だから、聞けてよかった……」
レイは顔を上げ、微笑んでみせる。相変わらず固まった表情で、口元だけの笑みだけれど、その微笑みはレイにとってはおそらく精一杯のもので、そして、心からのものなのだろう。
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
