411話 ページ46
「やっぱ、見覚えあんだよ。このプレートの文字……」
ザックがそんな言葉を口にした。少し考えて、ザックが取り出したのはぐしゃぐしゃに丸められた三枚の紙。レイのカバンの中から落ちてきた履歴書だった。
しわだらけのそれをザックは広げて、目を凝らすようにその文字列を眺める。
「あぁぁあ！ 読めねえぇから、何がなんだかわかんねぇ！」
「ザ……ザック、それ、わたしが、」
「いい！ 読むな……これは、俺が読む」
振り絞るように言ったAを静止して、ザックは軋む廊下に腰を下ろす。そして三枚の履歴書を床に広げてそれらをじっと見つめた。
「写真があんだから、これがレイのだろ……で、この塗りつぶされてんのが、Aのだ」
一つ一つ、指さしながら履歴書を見比べるザックを、Aはただ静かに見ていた。
「んで、この数字はなんだ？ レイのは「13」……俺のは「20」とか書いてんな。Aのは、「15」……何才かってことか？」
かろうじて読める数字を拾い上げる。レイの数字と、ザックの数字。塗りつぶされていないAの数字。
「……じゃあ、この写真と年の間は…………名前でいいのか？」
ザックが、履歴書をまとめて立ち上がる。そして、扉にかけられたプレートの前に立ち、そこに並ぶ文字列と、一枚の履歴書──レイの履歴書に書かれた名前の部分とを見比べる。
「レイの名前の最初の文字と、プレートの文字一緒だよな……んで、次の文字と、プレートの次の文字も同じ……。……次は」
一文字、一文字。プレートと、履歴書を見比べて。ザックは最後に顔を上げた。
「……全部、一緒じゃねえか」
そう気が付いたザックは、少し後ずさって。微かに、その顔に笑みを浮かべた。
「……んだよ、やっぱ見覚えあったんだよ！」
解読することができた喜びだろう。やはり既視感は間違いではなかったとザックは跳ね上がる。
そんなザックを見ながら、Aは言いようもない感情を胸に募らせていた。複雑な表情を浮かべたままのAを振り返って、ザックは興奮した口調で話しかける。
「おい、このプレートに書かれてるのはレイの名前ってことだろ？ だからお前も変な顔してたんじゃねえか！」
「そう、だね」
「じゃあ……ここは、レイの部屋ってことだな？」
そこまで言って、ザックは突然何かに気づいたように押し黙った。
「つーか、なんでここにあいつの部屋があんだよ……」
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
