408話 ページ43
「あ……？」
一番奥のタンスを開いたザックが小さく声を上げ、その中から小さな箱を取り出す。首を傾げつつ、その小さな箱を開けると中から小さなカギを取り出した。
「おい、A」
「どうしたの」
「カギだ。これで、あの地下の箱が開くか？」
「戻って確認してみよう。多分、サイズ的にはあってると思う」
Aがそう言い、ザックが部屋の出口の方に体を向けた瞬間。部屋がガタン、と揺れて天井から嫌な音がした。──それはまるで、先ほどまで歩いていた床のような、頼りなく軋む木材の音。すぐさま上を向いたAが言葉を失えば、ザックが呆然とつぶやく。
「……おいおい、天井落ちてきやがった」
また、罠だ。そう気づいた瞬間、二人は同時に動いた。
(つぶされる前に出ないと！)
言葉を交わす余裕はない。しかし互いが確実に脱出のために部屋の出口へ駆け出したのを確認し、二人は部屋の外に飛び出した。転がりでた二人分の体重に床が軋む音がして。そのすぐ後に、背後で部屋がつぶされる轟音。
「いいかげんにしろよ！！ふざけんなよ！！ここのフロアの奴の頭、いかれてんな！！」
息を切らしたザックが、つぶれた部屋を振り返り怒鳴り散らす。それから扉に体当たりしてみるものの、扉の向こう側には落ちてきた天井があるのだろう、もう扉は開かない。
「あーくそ！ もうここは開かねぇな……つーか、ここはレイの何なんだ……？」
もう一度扉を蹴り飛ばし、ザックは荒く息をつくと、手の中にしっかりと握ったカギを見る。
「おい、これで箱が開くんだよな。戻るぞ、A。あいつのことを知るにはとにかく進まなきゃ何ねぇーんだろ」
「……そうだね。地下に戻ろう。ここはまだ軋むから。気を付けて」
怒りのままに床を踏み鳴らしそうな勢いだったザックは急に静かになった。その代わりに怒りを吐き出すかのようにため息をつき、慎重に歩き始める。
Aもまた、いまだバクバクと激しくなる心臓を落ち着かせるように深呼吸をして、立ち上がった。
あの箱の中に、真実へ近づくカギがあるはずだ。
＊
「どうだ？」
地下へ戻った二人を見てグレイはただ一言、そう問うた。その余裕の表情にザックは怒りの形相でグレイに詰め寄る。
「うっせぇ！！ 意味わかんねぇ部屋でつぶされかけたんだよ！！」
「そうか」
「まぁ、カギはあったけどよ！！」
「ほう、よかったではないか」
「うっせぇ！」
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
