403話 ページ38
「ただ、ザック。お前は……他の者と違っているのかも知れぬとは思っていたがな」
「……あぁ?」
「お前は、あまりにも無垢で無知なるものだった。人を殺すことしか知らぬ、……純粋な者。だからこそ、私は君を天使でいさせようと思っていたのだよ。しかしザック……お前は今、ここのルールに反して生けにえとなり、ここから出ようとしている」
「んだよ、やっぱ殺す気かよ」
「……だから、話を聞かぬか!」
グレイが初めて声を張り上げた。叱られた子どものようにザックが不貞腐れてそっぽを向く。そっぽを向いてしまったザックをなおもじっと見つめ、諭すように、グレイは言葉を続けた。
「……そうではなくてだな。外に出たいだけのお前が、今や"レイチェル・ガードナーとともに"出ようとしているように見えてな。それがなぜかを知りたくなったのだ。───つまり観察対象が"お前たち"に変わったのだよ」
グレイの言葉に、ザックは微かに首を傾げた。混乱のままにザックは頭を搔く。
「……どっちにしろ、わけわかんねぇよ……」
「あぁ、今はそれで構わんさ。私もお前が口で説明できるとは思っておらん。それに、私の観察も終わっていないのだから、答えはまだ出んだろう」
今までのことも、全て見られていたのだろう。遥か地下からの出来事も。そしてこのフロアで罠に翻弄される姿も。先程、助けにやってきたのも全て見ていたから。───観察されていたから。
神父を前にすると、全てを見透かされているような気持ちになるのは気のせいではない。
その事をザックも理解したらしい、酷く気分が悪い、と言ったような顔をしている。
124人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます!そしてお返事が遅れて申し訳ありません……!ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします! (2021年9月25日 2時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます!!楽しみに待っていました!夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください!! (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リア | 作成日時:2021年9月1日 16時