380話 ページ15
「ザック、ねぇ、ザック！ お願い、お願い……！お願い、殺して、早く殺して」
一方的に詰め寄られたザックは後ずさりながら顔をひきつらせた。ザックが身体を捩るもレイはしがみついて離さない。
「おい！ 急になんだよ！」
「──お願い、早く……」
「何言ってんだ！ ここでお前を殺してどーすんだよ！」
ザックは詰め寄ってくるレイを思わず跳ね除ける。急変したレイに怪訝な顔を向け、ザックは一転した冷静な声でレイに言った。
「まだ、外にも出てねぇ。──それに、俺が殺したいのはその顔のお前じゃない」
「でも……」
なお言葉を続けようとしたレイがふと言葉を止めた。視線を落としたレイの視線の先にあるもの。そこにあるものに、全員の視線が集中する。それは緑色の装丁の本。
「……この本……そうだ……これは聖書……」
レイがぼんやりと呟く。虚ろな瞳がどこか遠くを見つめている。
「……あ……あぁ……」
開いた口からこぼれてくる絶望の声。溢れ出して止まらないといった風に、苦しげな吐息の音が立て続けに。
「お願い、ザック！ 早く、私を殺して、何も知らないままで……！」
レイはばっとザックの方を振り返ると、ザックのパーカーの裾をギュッと掴む。
「お願い、今の私を──殺して」
見上げて懇願する。
「お願い──私の、神様なら！」
ふらふらと後ずさったレイは、今までに聞いた事もないほどに絶叫し。頭を抱えながら、叫んで、そして糸が切れるようにその場に倒れた。
「……おい！」
「レイ！」
リビングの床に広がる血溜まりの中に倒れ込んだレイに、ザックとAは急いで駆け寄る。その華奢な体をAが抱き起こしてみれば、完全に脱力しているその体が力なくAの腕に寄りかかってきた。
「気を失ってる……」
「おい、ふざけんな！ しっかりしろ！」
ザックがレイの肩を揺さぶるが、レイは反応を示さない。揺さぶられるままの様子に、ザックはちっ、と舌打ちをこぼした。
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
