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360話 ページ43

「おいレイ」


「なに?」


「……Aの気が済んだら、とっとと出るぞ」


「……うん」



 レイは頷くも、その表情はどこか曇っている。それを見て、ザックはまたもやため息をついた。


 今はとにかく、この部屋を出たかった。世界から突き放されたようなこの場所にいるといつしか自分も異質に染まってしまう、そんな気がしてやまなかった。





 ザックとレイの視線を背中に感じながら静かにドアを閉めた。自然な手つきで電灯のスイッチを押すと部屋が明るく照らされる。



「…………」



 呼吸が止まるのと同時に、心臓の鼓動が緩まるような気がした。


 パッと照らされた部屋の中には大量の武器。今までAが縋り付き、その心を守るために使い続けた凶器の数々が並んでいる。銃。ナイフ。人の命を奪うには十分なそれら。フロアを徘徊しながら、あるいは部屋の片隅で手入れをしながら握ってきたものたち。


 銃弾と刃で守り続けた心は、実の所傷つき続けていた。誰かを殺すことで守ってきたと思い込んでいた心は、誰かを殺す度に死に続けていた。だけど、それも今日で終わりだ。これで最後だ。かつての日々を終わらせる。前を向いて、顔を上げて、先に進むために。過去も、役割も、全てを断ち切る。

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リア(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!二度入ってしまったことはお気になさらず!一気読みしてくださったと聞いて嬉しい気持ちでいっぱいです。かなりゆっくりの更新となってしまっておりますが、今後もぜひ読んでくださると嬉しいです! (2021年2月15日 22時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
あや - すみません、二回も同じ文が入ってしまいました(汗) (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 黒白の猫さん» コメントありがとうございます!まさか私の書いた文章でそんな風になって貰えるとは……!?(?)ここからの展開もお楽しみいただけると幸いです! (2020年10月13日 19時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2020年7月13日 20時

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