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355話 ページ38




 どれほど床に座り込んでいたのかも分からない。泣くことがあまりに久しぶりのことだったからか、呼吸が上手くできなかった。嗚咽が苦しくて、嬉しくて、随分と下手くそな泣き方をしていたように思える。
 Aが泣き続けていたその間、ザックはじっとその場を動かず、レイはずっとそばに立っていてくれた。



「落ち着いたかよ」



 ザックの無骨な声に、Aは最後にひぐっ、と泣き声を飲み込むと、大きく深呼吸をする。



「う、ん……落ち着いた、よ」


「ホントかよ? んな鼻水啜るような声で」


「ちょっ……と、ザック、恥ずかしいから……」



 顔に熱が集まるのを感じつつも、Aはザックと言われた通りに鼻を啜った。



「泣くの、久しぶりだし……人前でこんなに泣いちゃって、恥ずかしい」



 か細い声でそう言ったAにザックは苦笑する。優しい顔だった。



「とりあえず、ここを出んぞ。おいA、それでいいな?」


「あ……」



 ザックに言われて、ふとAはこのフロアで過ごした間の出来事を思い出す。暗い日々だったとは言え、Aが居続け、Aを守り続けたのがこのフロアだった。


 そして、恐らくはもうここに戻ることは二度とない。そう思うと、チリ、と胸に一抹の痛みが走るのを感じた。そんな気持ちのままに、口走るように。ふと思いついたことをザックとレイに吐露する。



「あの、ザック、レイ……少し、行きたいところがあるんだ」


「あぁ? どこだよ」


「──わたしの、部屋」



 Aがそう言うとレイがぱち、とまばたきをする。

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リア(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!二度入ってしまったことはお気になさらず!一気読みしてくださったと聞いて嬉しい気持ちでいっぱいです。かなりゆっくりの更新となってしまっておりますが、今後もぜひ読んでくださると嬉しいです! (2021年2月15日 22時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
あや - すみません、二回も同じ文が入ってしまいました(汗) (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 黒白の猫さん» コメントありがとうございます!まさか私の書いた文章でそんな風になって貰えるとは……!?(?)ここからの展開もお楽しみいただけると幸いです! (2020年10月13日 19時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2020年7月13日 20時

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