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136話 ページ46

すっ、と落とした手が空をかいた時。背後でガシャン、という音がした。



「……?」



 ふりかえる。いつもみたいに、ドアの鍵を閉められたのかと思った。


 しかし、それほど呑気なことではなかった。
ロウソクが立っていた燭台が倒れて、ロウソクがぽとりと床に落ちる。



「ちょっ……と、これはまずい……!?」



 思わず小さく叫んで、倒れたロウソクに手を伸ばす。燃え広がったりでもしたら大変だ、と────



「…………」



 伸ばした手が止まる。ロウソクの火は消えていた。



「あれ……?」



 倒れた衝撃で火が消えたのだろうか。と、思った瞬間、ロウソク立てが倒れたその場所から、禍々しい色の紫色の煙が舞い上がった。



(……っ!?まさか、毒……!)



 Aは咄嗟に服の袖口をのばして、口元を覆った。部屋はたちまち煙に包み込まれていく。



「なに、これ……」



 Aが目を白黒させながら、レイの方を振り返ると、レイはどこか呆然として突っ立っていた。


 Aがレイに向かって一歩を踏み出したとき、塞いだはずの鼻になにか、甘いにおいが届く。


 砂糖が焦げたような、あるいはなにかの薬品のような、強烈でありながらどこか甘い、おかしなにおい。


 Aが立ちすくむと、ふっと腕から力が抜けて、口元を覆っていた手が落ちる。



(頭が、ぼんやりする────このにおいは、なに……?)



 ────ピィ、ピィ。



 目が回りそうな甘い香りの中、足元で小鳥が鳴く声がした。ふと見下ろすと、そこには真っ二つに裂けた、血塗れの小鳥がいる。



(この小鳥……B6の……)



 だが、この小鳥は死んだはずだ。そして今見えている姿も、完全に死んでしまったあとのそれだ。


 しかし、その小鳥が今、ピィ、ピィ、と鳴いている。おかしい、と思いながらもAはそっと小鳥に手を伸ばす。


 指先に、小鳥のふわふわとした感触が伝わった────と思った時には、小鳥の姿は消えていた。


 まるで幻のように、最初からいなかったかのように、いなくなっている。

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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д`)w (2018年10月4日 21時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます!最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください! (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2018年9月8日 19時

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