135話 ページ45
進んだ部屋は、まるで夜の中のような真っ暗な空間だった。
一切の光のない空間の中で、Aは心臓が波打つのを感じていた。呼吸が苦しいのも、気のせいではないだろう。この暗闇は、今までの中で1番だ。
奈落の底のような、深淵の中────
(何も、見えない……暗い……)
レイの華奢な指に、Aは自分の指を絡めた。レイはAを安心させるかのように、きゅっと握り返してくれる。
それでも、不安が消えることは無い。だって、このフロアは今までとは全く違った雰囲気を纏っている。
確実になにかが違う。端的に言って、不気味だった。
(……あれ……?)
そこでAは気がついた。
どこか遠くで────オルガンが鳴っている。ほんの微かな音なのに、オルガンが奏でる重厚な音が耳な中でわんわんと響くような、妙な感覚。
その音はレイにも聞こえているらしい。レイはオルガンの音に導かれるように前に進み、その先にあった分厚い扉を開いた。
レイと手を繋いでいるAも、自然とレイに引っ張られて、部屋の中に入る。
と、その時。
二人を待ち構えていたかのように、部屋中のロウソクが一斉に灯った。
「っ……!? ……なにこれ……!?」
突然の出来事に目が眩む。手をかざしながらおそるおそる目を開くと、古い────もしくは、アンティーク調のタイルが敷き詰められた床が目に入った。
そっと顔を上げて辺りを見回す。レンガ調の壁、立派な柱、床に拡げられた赤いカーペット。その様子は、さながら、教会のようだった。
(教会……か……)
Aがぼんやりと、教会のようなその空間を眺めていると、レイは普段と同じく冷静な態度で、またもや一歩を踏み出した。
明かりがついたことで少し緊張感がほぐれていたらしい。レイと繋いでいた手が、こぼれ落ちる。
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д`)w (2018年10月4日 21時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます!最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください! (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年9月8日 19時