92話 ページ2
狭い通路を、無言で進んでいく。
ザックはさっさと歩いていってしまったが、レイはふらふらと足取りもおぼつかなく、追いつくどころかますます置いていかれてしまっていた。そして、レイの後ろを歩いているAも、同じように置いていかれてしまっている。
追い抜かす気にもなれず、どんどんザックとの差は開いていった。と、ザックがついに立ち止まった。
「おい、お前ら……!」
振り返って、のろのろと歩くレイとAを怒鳴りつけると、早足で通路を戻ってくる。
「この先、何があるかわかんねぇんだ。早く来いよ!」
「……がんばる」
レイがそう返事すると、ザックは不満そうにため息を吐きながらも、また通路をあるきはじめた。
また、差が開いていく。
「……もっとはやく歩けねぇのかよ」
また、ザックが振り返り、早足で通路を戻ってくると、不機嫌そうにそう言った。
「……大丈夫」
レイのその返事を聞いて、またザックは歩き出したが、また差が開いていってしまう。
「……だぁぁ! くっそ! このペースで進めるかよ!」
ついにザックは頭に血がのぼったのか、大声で叫んだ。その様子を見て、レイがザックに訊いた。
「……先に、いく?」
「できるなら、そうしてぇけどよ。でも俺一人だと、結局行き詰まるだろうが」
「……大丈夫、私、歩けるよ」
「どっかで、行き倒れんじゃねぇか?」
「……がんばる」
「頑張ったって死ぬ時は死ぬんだよ。お前自身は死んで良くても、俺はお前に死なれたら困るんだよ」
「……そう、だったね……だったら、なおさら、がんばらないと……」
ザックは代わり映えのないレイの言葉に呆れたように頭をかいた。
「お前、かしこいのにほんと人形みたいに同じこと繰り返してばっかだな……」
レイは首をかしげた。
「……どうしたらいい?」
「うるせぇ。人間だったら、自分で考えろ」
レイは押し黙ると、どこか助けを求めるようにAを見たが、Aにもどうすればいいのか分からない。Aが首を振ってみせると、レイはどこか考え込むようにうつむいた。
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д`)w (2018年10月4日 21時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます!最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください! (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年9月8日 19時