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26話 ページ27

「おいおいダニー! なんて幸せそうな声出してやがんだ!我慢出来ずに、お前を斬っちまったじゃねぇか!」



 カマを振りかざして、B6で出会った殺人鬼は興奮した声でまくしたてる。



「なぁ、お嬢ちゃんよぉ! テメェを追いかけてきたらとんでもねぇ事になっちまったなぁ!」



 殺人鬼は、手術台に足音も高らかに歩み寄ると、レイに笑いかける。



「なぁ、生きたいか? なら、今すぐ逃げろよ。逃げて、もがけ! 希望を抱いてな! ────そこを、ぶっ刺してやるよぉ!!」



 殺人鬼はカマを振り上げると、大声で脅す。だが、レイの耳には何一つ、殺人鬼の言葉は入ってきていなかった。



「……あ?」



 一切無反応のレイに、殺人鬼は不満そうな声をだす。


 ────B6で見た時とは、まるで別人だ。



「ちっ!」



 殺人鬼はイラついたように舌打ちすると、カマを下ろした。



「つまんねぇ顔だな、おい。せっかく俺が、こうやって刃の先を突きつけているのに、生きたいとも思わないのか?」



 何も言わない目の前の少女に、殺人鬼は頭を掻きむしった。イライラする。



「俺はマトモな成人男性だからよ、お人形さんを切り裂く趣味はないんだよ」



 殺人鬼は周りを見回すと、手術台にもたれかかったAを見つけて、即座にその首にカマを突きつける。が、気を失っているAは当然のごとく反応しない。



「……テメェは俺の顔に土をかけた奴か。こっちもつまんねぇ顔しやがって。お前ら、どっちもつまんねぇ顔して、イライラするんだよ」



 殺人鬼はやる気をなくして、部屋を出ていこうとする。


 その時だった。スピーカーから、再び教会の鐘のような音が鳴り響いた。




 "────裏切り者の出現────"


 "────フロア6の者がフロア5の者を
攻撃した────"


 "────これはルールに反すること────"


 "────以下、レイチェルに続き、裏切り者が生贄となりました────"




 放送を聞いて、殺人鬼はまた舌打ちする。



「……あーあ。冗談じゃねぇな。くっそ、逃げるか」



 殺人鬼はダニーの死体をまたいで、騒がしく手術室を出ていった。残されたレイは手術台から力なく立ち上がる。床に転がる、血塗れのダニーの体の元にしゃがみこむと、つんつんと頬をついた。



(死んじゃったのかな……)



 ダニーの身体はぴくりとも動かなかった。

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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時

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