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20話 ページ21

「ここは個室だね」


 部屋に入るとダニーがそう言った。
 部屋の中には真っ白なベッドが一つだけ。キレイに整えられているけれど、高い柵に囲まれたベッドはなんだか血なまぐさいような匂いがしていて、明らかにおかしい。
 ベッドの奥の壁になにかが書かれている。レイは首を傾げて、近くへ歩いていった。


"自分の望みを知っているか"


"欲望を知っているか"


"それが本能であるならば抗う意味など無に等しい"


"なぜならそんな意味すら、ここにいる君は持たないのだから"


"ただし望みには対価がいる"


"ルールは破らぬように"


「ルール……?」


「ここにはきっとルールがあるんだ。例えば、君を襲ったやつはここまで追ってこなかった」


「じゃあ、この望みっていうのは?」


「それは人によって違うだろうね。そうだな……僕なら、キレイな目が欲しいな。僕は片目が良くなくてね、色も嫌いなんだ。君たちのような目が僕のだったら、それはそれは素敵だろうね」


 ダニーはまた笑ったが今度はどこか自虐的だ。そんなダニーは、レイとAの瞳がキレイだといった。しかしAは無意識のうちに、素敵だと言われたばかりの目を両手で覆っていた。灰色の目。変な色だ。


 ────わたしは、この目が嫌い。


 そう思っていた、そんな気がする。


 と、レイが部屋の隅へと歩いていく。そこの壁にも何かが書いてあるが、埃を被っていて見えない。レイが手を伸ばして埃を払おうとしたときだった。


「やめなさい! 目にゴミが入る!」


 ダニーがレイの手を掴んで、壁から引き離した。その豹変っぷりに驚いたレイが肩を跳ねさせる。


「……君は、目を大事にしなさい。とても、キレイな目なんだからね」


 Aは目を背けたくなった。なぜそんなにも目に執着するのだろうか。今まで、生きてきて。この目はなにか嫌なものばかり見てきた気がする。


 ────もしかして、記憶が戻ってきてる?


 本当にどうでもいいことばかりだとは思うが、少しずつ記憶が戻っているのだろうか。
 だけど、すべて『気がする』だけ。なにか嫌なものばかり見た、と言っても何を見てきたのかは思い出せない。役立たずな記憶だ。


「……さぁ、ふたりとも。僕の部屋に行こうか」


 ダニーが微笑み、部屋を出ていく。Aはどこかもやもやした気持ちのまま、その後についていった。

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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時

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