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3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈7話〉 ページ26

その言葉に少しだけ苛つきを覚えた。こうも忘れっぽいと逆に清々しさすら感じてくる。

「なっ……!ト、トルダリッグス・ヴィリンです!名前位は覚えてほしいのに……。」

 ティーは自分が予想以上に残念がっている事を知り、かなり驚愕した。ジェアイも流石に外を見ていた視線を彼女に移し、俯いたその双望が潤んでいる事に気が付いて焦る。

「あ、えーっと、うん。もう忘れないから。トルダリッグス、よし、覚えた。」

 ジェアイは挙動不審気味に言う。

「……有り難う御座います。」
「あー……うん。で、他には?」

 不貞腐れた表情で黙り混むティーに、何か声を掛けないと、という気分になって取り敢えず訊く。馴れないことをして、不本意に冷たくなってしまう。



―――――嫌われたのかな。



 そんな思考が頭に浮かんだ。
 ジェアイはずっと冷たい。しかし彼女が元々好かれていないことは、彼女自身、分かっている。会ったばかりで、付きまとわれたくないこともだ。
 それでも何故か思っていたより残念に思う。彼は他人、只の客だ。そう思わないと、平静ではいられない。久し振りに冷たくされたからだろう。
 もう吹っ切れたという様に、ティーは暗い表情を無理矢理笑顔にして答える。

「はい、まだあります!」

 あまりにも自然だったそれは、彼には本当に何も気にしていないように見えた。

3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈8話〉→←3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈6話〉



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弧瑠十 奏(プロフ) - 00さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると頑張れます。これからも是非ともよろしくお願いいたします! (2022年6月4日 18時) (レス) id: 886c7552f3 (このIDを非表示/違反報告)
00 - コメント失礼します。とても面白かったです!本当にお話を書くのがお上手ですね。パート2も楽しみにしています!! (2022年6月4日 11時) (レス) @page46 id: 4683564af1 (このIDを非表示/違反報告)
弧瑠十 奏(プロフ) - 更新かなり遅くなりました。申し訳ございません。 (2021年11月30日 6時) (レス) id: 886c7552f3 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつあめ(プロフ) - 検定頑張ってください (2020年10月26日 8時) (レス) id: f82d3976b3 (このIDを非表示/違反報告)
ソウ(プロフ) - 白夜の世界さん» 有り難う御座います!とても嬉しい御言葉です。これからも、頑張ります。 (2020年6月9日 16時) (レス) id: a9c96849d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弧瑠十 奏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aaaD  
作成日時:2020年2月25日 21時

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