もっと近くで笑ってほしい _rt ページ9
俺の好きな人は、キヨくんの近くにいることが多い。イベント関係でよくお世話になるスタッフさんのひとりで、俺ら全体をサポートしてくれる…つまり、別にキヨくんの担当じゃない。キヨくんがよく演出について提案をするから必然的に近くにいるだけ。
「…あー、確かに、はい、確認しておきます、ありがとうございます」
今日もまた、キヨくんと話すAさんの声が聞こえる。キヨくんは別に彼女と話すことを目的に提案しているわけじゃないのはわかってる。それでも俺はもやもやしてしまう。
「なに話しとるん?」
あまりにも真面目そうな話のときはさすがに間に入らない。けれど少し笑い声が聞こえてきて、いけそうだな、って思ったときはつい、話しかけに行ってしまう。
「あ、レトルトさん、キヨさんが無茶なこと言うんです」
そう少し困ったような笑顔を向けてくる彼女が可愛らしくて、今までは我慢できていたはずの恋情がわいてくるようで。
「ちょっと見せて」
彼女の肩にそっと手をあてて、わざと近い距離で机に置かれた紙を覗き込む。近付きたい、意識されたい、牽制したい、色々な想いがぐちゃぐちゃになって行動にあらわれた。
「うーわレトルトがセクハラしてる」
離れた席ででフジくんと話していたはずのうっしーにバカにされてハッとする。確かに、俺なりの考えがあってした行動でも、彼女が嫌がってたら勝手に触れて近付くのはセクハラだ。というか嫌がられてたらセクハラとか関係なく色々ダメじゃん。
やりすぎた。もうすぐイベントが済んでしまってしばらく会えなくなるからと焦ってしまった。
「ふふ、大丈夫です」
反省と後悔が顔に出ていたのか、俺は何も言っていないのにAさんはそう笑った。その頬がほんの少しだけ赤らんで見えたのが気の所為じゃないとしたら、期待をしてもいいんだろうか。
ダメって言われても、勝手にするんやけど。
『もっと近くで笑ってほしい』end
今年は西南西やや西 _us→←期間限定の隣じゃ足りなくなる _ky
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ぽる。(プロフ) - むい。さん» うれしいです!!ありがとうございます(;_;) (2020年1月8日 21時) (レス) id: 3842b3f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
むい。(プロフ) - すきです!!!とにかく、すきです!!! (2020年1月3日 9時) (レス) id: 830124773a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽる。 | 作成日時:2019年12月29日 19時