翔んで流星街！【H×H】 (ページ34)

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翔んで33話ページ34

「侵入者だって聞いたから暇つぶしに退治しようと来てみたのに…この程度じゃ話にもならないね。もう死んでるかな？」

ウォーミングアップにもならかったなぁ、とイルミは呟いた。
倒れて動かない女に近づこうとすれば、女のペットらしい子犬が唸り声を上げながらイルミの足首に噛みついてきた。

「歩きにくいんだけど。」

子犬を乱暴に引っぺがしそのまま放り投げる。
そして女の髪をこれまた乱暴に掴んで無理やり体を起こさせるのだった。

「…まだ息はしてるのか。うわぁー、顔がえらいことになってる。可哀そうなことしちゃったからこのまま殺してあげよう。」

バイバイ―――――。

無数の針を刺そうとするも、その動きは止められた。

「何か用？」

「手を放せ、イルミ。その娘はワシの知り合いの孫じゃ。」

「知り合いの孫？そんなのいたっけ？？」

「メルリナイト(メリー)じゃよ。お前も昔会ったことがあるじゃろう。」

ゼノはそう言いながら、地面に落ちていたハンターライセンスを拾い上げる。

「そうか…あの時の赤子がここまで成長したのか…。感動で涙が出そうじゃわい。」

「よく言うよ。そんなこと思ってもいないくせに。」

「馬鹿もん、ワシとて人として最低限の感情くらい持ち合わせとるわ。あー、またこんなに荒らしおって……ほれ、早うその手を離さんかい！」

周囲に撒き散らかした少女の荷物はイルミに拾わせ、ゼノはぐったりしている彼女とフェンリルを背負い本邸に向かって行くーーーーー。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

『……あれ、ここ……』

「あ、やっと起きた？おはよう。」

『え、あ、おはよう…ございます…。』

見知らぬ男の人が私の顔を覗き込むと、その綺麗な黒髪がサラサラと私の顔に当たってきてくすぐったい。

あんなに吹っ飛ばされたのに生きてる…。
取り敢えず良かった…。でも身体が動かない、というより動かせない。うぅ、痛い…。

『あの、フェンリルは、どこに…？』

「フェンリル？あぁ、あの犬？外で遊んでるよ。」

『そう、ですか、良かった…痛たた……。』

「怪我の具合は？」

『全身、痛くて、動かせないです…。顔も痛くて…喋り、にくいです…。あ…助けて、くださって…あり、がとう…ござい、ます。』

「いいよいいよ、気にしないで。キミのことボコボコにしたのオレだし。」

『へぇ…そうなんですか。』

「うん。」

…………………え？そうなんですか？？