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完全な独学で
発音も、もしかしたら綴りすらもおかしいかもしれない。



いつも日本語で話してくれるこの人に
韓国語で伝えたかった精一杯の想い。



Aは果たして伝わったのか分からぬまま、



「モルリイッソド オディエイッソド
タンシヌン ナエゲ トゥルド オムヌン ソジュンハン サラミムニダ、」


ー遠くにいても、離れていても

あなたは私にとって
かけがえのない大切な人ですー



そう続けて、
その濡れた瞳を探るように見つめる。



「…テヒョンくん…伝わった…?」



Aの問いかけに、
テヒョンくんは片手を自分の胸に置いて



「ちゃんと、ここ、とどきました。」



そう言い、うん、と深く頷いた。



「良かった、私、」


「Aちゃん。」



テヒョンくんが言葉を止めた。


白いワイシャツにきちりと締めた光沢のあるネイビーのネクタイ。
それを、ぐい、と長い指で緩めた。


綺麗な顔立ちに似つかわないような男らしい喉仏が目に入り
Aはどきりとする。



「ききたいこといっぱいあるけど、

さきに、だきしめさせて。」



言われたのと同時にその腕の中に包まれてしまった。


ぎゅうっ、と存在を確かめるように抱き締められながら
Aは両手をその広い背中にそっと置く。


「テヒョンくんだ。」



包む温度と甘い匂い。



「うん。Aちゃんだ。」


同じ様に返されて


「かんこくご、ありがとう。すごい。」


抱き締められたまま、そう続けられる。


「韓国語、難しい。外国語を学ぶって凄いなって。

テヒョンくん、いつも日本語で話してくれて、
…ありがとう。」


ふっ、と耳元で息を感じて



「Aちゃんは
どこにいても、ずっと

당신은 나에게 둘도 없는 소중한 사람입니다.」



ゆっくり囁くように紡ぐ韓国語。
優しく沁み渡るその響き。

テヒョンくんの話す韓国語は
テヒョンくんの話す日本語と同じだった。



ーどこにいても、ずっと、かけがえのない大切な人です。ー



さわ、


風が吹いて周りのひまわりが揺れ始める。


「テヒョンくん、ここはテヒョンくんの家?」


「こうこうまですんでました。」


「テヒョンくん、随分年の離れたお友達がいる?」


「うん。こどものときからのだいじなともだち。」


そこまで聞いてAが

「私、なんか映画の中に入っちゃったかと思った。」

そう言って笑うと



「Aちゃん


どんなラストがいい?」



テヒョンくんは大真面目に言った。


.

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ミキ(プロフ) - えっ、えっ!ぽるこさん、私なんかにそんなお言葉(感涙)…冥土の土産にしますっ!6章のラスト!!大好きな感じですっ。ぽるこさんの言う、勝手に登場人物達が動いてる感覚?言葉が降りてきてるのですね!まさに神がかってる!噛み締めて読んで、余韻に浸ってます♪ (2019年8月25日 23時) (レス) id: be38181257 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - リオさん» まだ楽しめる、その様に受け止めて頂けましたか…涙。一体いつ終わるのかと作者すら感じている中なんだか救われました。ある意味生きもの、正にそれです。要は作者が1番楽しんでるのです。とても素敵な目の醒めるコメント、感謝します。 (2019年8月25日 16時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 次章もまだまだ楽しめるんですね!うれしいです!作者様の仰る事分かります。登場人物が勝手に動くというやつです。この作品読んでると脳内で勝手に映像化されますもん。ある意味生きものなのでしょうね。それぞれに心がありますし。とても素敵な作品ですね。 (2019年8月25日 9時) (レス) id: ba173bb279 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - ミキさん» ミキさんの綴るお話が読んでみたいと思う作者です。いつも胸に響くコメントの文面、作者には勿体無い位。温かい応援をありがとうございます。最終章でお待ちしてますね! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - マミさん» 作者も、早くラストを迎えたいような迎えたくないような、そんな中亀のように進めております。温かいコメントを胸に更新頻度を上げつつ突き進みますね!ありがとうございます! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽるこ | 作成日時:2019年5月20日 19時

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