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「…っ。判った」
「ん。良い子だ」
渋々了承したAに、太宰は優しく微笑んだ。
「だ、太宰さん」
「ん?如何したんだい、敦くん」
一部始終を見ていた敦が太宰に尋ねた。
「何か、あったんですか…?」
「実は今朝、弁当の事で喧嘩してしまったんだ」
「べ、弁当…?」
「嗚呼。まぁ、仲直りも出来たことだし、一件落着、かな?」
敦は「弁当で…喧嘩?」と、頭が疑問でいっぱいだった。
「国木田くん!今日はAもいるし、帰ってもいいかい?」
「Aを使って楽をしようとするな!此の唐変木!」
「あいたっ!痛いよ国木田くーん!」
「お父さん…ちゃんと仕事終わらせて」
武装探偵社では賑やかな笑い声、呆れ声、怒鳴り声が響き渡っていた___
***
「お父さん」
「何だい?」
「明日から、また…お弁当作って」
「…!嗚呼、勿論!」
日が沈む頃、食材の入ったビニール袋を手に、
二人は歩いていた。
ひんやりした風が吹いた時、Aはある疑問が頭に浮かんだ。
「ねえお父さん」
「ん?」
「如何して何時もキャラ弁なの?お父さんらしくないじゃん」
「あー…其れはねぇ」
太宰は一瞬、本の一瞬だけ。
遠い過去を懐かしんだ。
「…秘密だ」
「ええ!?非道い!教えてよ!」
「んふふ、教えたら詰まらないじゃあないか」
「ッ〜!お父さんの意地悪!」
頬を膨らませて怒るAに、「怒った顔も可愛いよ」と、太宰。
「もう知らない。お父さんの夕飯に山葵入れてやる」
「あはは。其れは困ったな〜?」
「んもう!沢山入れてやるんだから!」
Aは早足で家へと向かった。
一方で太宰は、立ち止まり風で靡く髪を押さえつける。
日の沈んだ空を見て、“彼”を思い出す。
「…織田作」
太宰のか細い声は、少し冷たい風へと掻き消された。
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水瀬琥雪 - めっちゃ好きです…太宰さんの愛が感じられてやばいです…そんなキャラ弁嫌なのか……?私だったら嬉しいけどな…受験頑張ってください!! (2023年2月5日 8時) (レス) @page10 id: 28ac647065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽんず。 | 作成日時:2022年4月27日 1時