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「んで、お兄ちゃんなんかあったのか?」
「どうしてですか?」
「俺の勘よ、話してみ?」
意外とグイグイくるオジサンの好意はありがたいけど
話したいことがあるわけではなくて、どうしたらいいかと吃っていると
「うぃーっす!おっちゃん、ラーメン一杯くれやぁ!」
「こりゃめんどい客が来たもんだ
わりぃな銀さん、話聞いてやってくれ!」
「いや、なんで俺g「まぁまぁ!」…」
そんなことを言って、新しく来たかなり酔っ払ったお客さんの対応をしに行ってしまった
「··········」
「··········」
沈黙
加えて、隣からの意識を微妙に感じてなんとなく気まずい雰囲気に思えてしまう
「良かったじゃねェの」
「え?」
沈黙を破ったのは銀髪さんだった
「別段話したいことがあったわけじゃねぇんだろ?」
「えっと、そうですね。でも、どうしてわかったんですか?」
「見てりゃわかる」
こちらに目なんてくれずになんてラーメンをすする彼
「誰だって気付いたら泣いてるとか、なんもないのに悲しい、みたいなことあんだろ」
「大人にもあるんですか?」
「そりゃああるだろうよ。それに兄ちゃんみたいな時期だと特にそうじゃねぇのって思うけど」
「へぇ·····」
「つーことよ、立派に警察やっててもまだまだ心はおこちゃまってことで金髪の不良少年?」
「あっ、覚えてたんですね」
これは一本取られた
得意げな顔の彼はグラスのお酒を飲み干したところだった
「そりゃもう、思いっきり振った刀避けられるとは、思ってなかったしな?」
「あのときはどうも」
「おー·····つーことで、俺は帰る
未成年のおこちゃまもはやく帰るこったな、お前の帰るべき場所の奴がまってんぞ」
鼻をほじりながら店を後にした彼、格好はついてないけど最後の言葉が心にしみた
屯所を出てきたときのあの焦燥は消えていた
そのままあと少しだけでも私に意識を傾けていてほしいと思ってしまった
気にしてなさそうで気にかけてくれている
微妙な具合の距離感で彼の気持ちと調和しているようなそんな心地良さを感じたのだ
「ごちそうさまでした」
確か、銀さんと呼ばれていたっけ
.
ナチュラルに食い逃げしていったな
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