1_とある日 ページ2
僕の名前はウヴァル・サマエル。
どこにでもいる普通の平凡悪魔だと自分では思っている。
けど、家庭環境は別。
僕の家には親が居ない。父さんも母さんも2人とも仕事で遠くに出てしまったまま長らく帰って来ていないのだ。
だけど、寂しいわけじゃない。きょうだい達が居るから。父さんと母さんが居なくても大丈夫。
そんな家でその日ものんびりと家の掃除をしていると、サバトに出掛けていた姉さんが家に駆け込んで来た。
「大変!大変大変!!」
『ちょっ姉さん!?何かあったの!?』
「今丁度門のとこで、郵便屋さんに"コレ"貰ったのよ!!」
玄関で片手で靴を脱ごうともがきながら、もう片方の手で持っていたモノをズイッと僕の目の前に出してくる。
『近いよっ』なんて言いながら、姉さんに渡されたソレをよく見る。
白い綺麗な封筒。封をしている紅い蝋には独特の紋章がある。その紋章にはどこか見覚えがあって、何処で見たのだろうかと記憶を探っていると、姉さんが先に答えを言う。
「バビルスからの手紙!!」
『あっ!』
そうだ。この前入学試験を受けに行った悪魔学校バビルスの紋章だ。
このタイミングで来るという事は十中八九試験結果。つまり合格したか否か分かるのだ。
そう思い始めると途端にこの手紙が重く感じ、胃も痛くなってきた気がする。
僕、こういう緊張とかに弱いんだよな…。落ちてたらと思うと…。
「早く開けて!!早く早く!」
『無理…。無理無理…緊張が』
「じゃあ私が開けるから貸して!」
『弟本人の意思を尊重してよ姉さん』
どこから出したのかペーパーナイフを構えて、キラキラした目で準備万端だという意思表示をこちらにしてくる。
姉さんが準備万端でも、こっちがダメなの分かって欲しいよ。
「大丈夫よ!」
『でも…』
「貴方私の弟なのよ?受かってるに決まってるじゃない!そうじゃないならバビルスの試験官の目は節穴なのよ!」
『姉さん……ありがとう』
「という訳で…スパっと行くわよ〜!」
『えっちょ姉さん!?えぇっ!??』
姉さんの言葉で緊張が少しほぐれた。と思った瞬間に、さっきまでの良い感じの雰囲気は何処へ行ったのか、僕の手から手紙をかっさらい、混乱している内に封を切られてしまった。
『姉さん〜…』
「ほい」
『ほい。じゃなくて!』
「も〜早く腹括って見ちゃいなさい」
『うっ…』
開いた封をこちらに向けて差し出してくる。なんとなく禍々しい雰囲気を感じてしまう。
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モンモン - 更新楽しみにしとります! (5月21日 0時) (レス) @page39 id: 7fe6f6ee48 (このIDを非表示/違反報告)
☆?(?v?。)(プロフ) - 好きです!!主人公のキャラが立っていて凄く良いし、何より文章が上手くて面白いです!続きを楽しみに待っています!! (2023年1月31日 19時) (レス) @page38 id: 55f21e1ec6 (このIDを非表示/違反報告)
小柴紬 - 階段をくだっていく教室って…(あそこかぁぁぁぁぁぁぁ) (2022年11月7日 7時) (レス) @page35 id: 2e1df96980 (このIDを非表示/違反報告)
ほしぽん(プロフ) - ツムがおる (2022年10月17日 18時) (レス) @page31 id: 86c5fe95fa (このIDを非表示/違反報告)
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